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CHUNITHM【チュウニズム】攻略wiki

ナイ

最終更新日時 :
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【キャラ一覧(無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN)】
スキル一覧(~PARADISE LOST)】【マップ一覧

※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。

  • このページに記載されているすべてのスキルの効果は、CHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです(限界突破の証系を除き、NEW以降で入手・使用できません)。
  • 専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター(いわゆるトランスフォーム対応キャラ)は、RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

Illustrator:しがらき


名前ナイ
年齢見た目年齢10歳
職業子守型アンドロイド
  • 2021年1月21日追加
  • PARADISE ep.I マップ1クリアで入手。<終了済>
  • 入手方法:2022/10/13~ カードメイカーの「CHUNITHM PARADISE」ガチャで入手。
  • 対応楽曲は「テリトリーバトル」。
  • maimaiでらっくすUNiVERSE PLUSで開催されたイベント「ツユちほー」では、対応曲とともにつあーメンバー(キャラクター)として追加された。
  • のちCHUNITHMでもツユイベントが開催されたが、枠があふれたためかmaimaiと違ってキャラがマップボーナス対象にならない(対応曲のみマップボーナス対象となる)ので注意。

子供を守り育てるために生み出されたアンドロイド。

ナイ【 通常 / 0419_Guardian

巡り巡った彼女はとある少年少女たちと出会う。

スキル

RANKスキル
1鉄壁ガード
5
10
15
25限界突破の証
50真・限界突破の証
100絆・限界突破の証

  • 鉄壁ガード [GUARD]
  • 微量なゲージボーナスと一定回数のダメージ無効効果を持つ。PARADISE ep.Iマップでは最初に手に入るスキルであり、初心者向けと言って良い性能。
  • 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
  • PARADISE ep.Iマップ1(PARADISE時点で5マス)クリア
プレイ環境と最大GRADEの関係
プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し+3
あり
PARADISE
(~2021/8/4)
無し
あり+7
CRYSTAL無し+5
あり+12
AMAZON無し+7
あり+12
STAR+以前
GRADE効果
共通ゲーム開始時にボーナス +????
一定回数ダメージを無効化 (??回)
ボーナス無効回数
初期値+6000(20回)
+1+8000 (30回)
+2+10000 (40回)
+3+12000 (50回)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+4+14000 (60回)
+5+16000 (70回)
+6+18000 (80回)
+7+20000 (90回)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(PARADISE以降では未登場)
+8+22000 (100回)
+9+24000 (110回)
+10+26000 (120回)
+11+28000 (130回)
+12+30000 (140回)
理論値:72000(4本+12000/20k)[+3]
理論値:76000(4本+16000/20k)[+5]
理論値:80000(5本+0/22k)[+7]
理論値:90000(5本+10000/22k)[+12]

所有キャラ【 荒場 流子 / 舞園 星斗(1) / エルルーン(1,5) / 高橋 早苗(1,5) / ナイ

PLUSまでの旧仕様

AIRバージョンから、開始時ボーナスが増加した。

初期値ゲーム開始時にボーナス +5000
一定回数ダメージを無効化(20回)
GRADE UPダメージ無効化 10回増加(最大50回)

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ランクテーブル

12345
スキルEP.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
~50
スキル
~100
スキル

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STORY(EPISODE6まで)

※続きはこちらを参照

EPISODE1 無垢「子守型アンドロイド_0419_Guardian 起動します」

 ――西暦2XXX年。

 時代と共に発達していくAI技術とロボット工学により人間そっくりのロボット――

 “アンドロイド”が製造されるようになった。

 アンドロイドの登場により、人間は過酷な労働から解放されていく。

 そして、開発技術は著しい発達を遂げ、アンドロイドは高い知性を持つまでに至った。

 だが、これが結果的に人間の生活を衰退させていく。

 繁栄を謳歌する都市(シティ)に住む富裕層。

 その近くで貧困にあえぐ貧困層。

 いつしか、居住環境は二分化されてしまった。

 都市の周りには、明かりさえ差し込まない混沌としたスラムが広がっている。


 マフィア、ギャング、失業者にならず者たち――

 そこは、社会から弾き出された者たちで溢れかえっていた。

 銃声と悲鳴、腐敗した廃棄物の咽るような悪臭の中、富裕層と貧困層の争いが絶えない日常。

 そして、今日もまた都市へと物資を運ぶ輸送車がスラムに住むギャングたちによって襲われていた。


 「ヘヘ、こいつは大量だぜ!」

 「物色すんのはあとだ、セキュリティが来る前に金目のモンは片っ端から積み込めッ!」


 大破し、横倒しになった輸送車。

 その中で複数の男たちが、積まれた物資を次々と外の車へ運び出していく。


 「なあ、これって子供じゃないっスか? こいつも売り物になりそうっスよ!」

 「おいおい、ドレスに花束って、まるで嫁入りだな」


 鉄の箱の中、ガラス張りの蓋から見えたのは白いドレスに身を包み、白い花の束を抱えて横たわる10歳ほどの子供。


 「いや、よく見ろよ。こいつはアンドロイドだ。箱に製造番号書いてるだろ」


 ギャングが指さした先、子供の首輪には『0419_Guardian』と書かれてあった。


 「これがアンドロイドか、こんな近くで見たのは初めてだぜ。マジで人間そっくりなんだな」

 「アンドロイドってことは高く売れるッスかね?」

 「うるせえ、つべこべいわずに高値で売れそうなモンだけ全部運び出せ!」

 「あいよ!」


 ギャングの1人が取り出そうと箱をあちこち触った瞬間、ガラス張りの蓋が開いた。

 すると、眠っていたアンドロイドがゆっくりと身体を起こし、視界に入ったギャングへ顔を向ける。


 ――システム起動。


 「子守型アンドロイド_0419_Guardian 起動します」

 「おっ! 起きたぞ、コイツ!」


 ――データ照合。男性のデータ該当なし。

 ――現在地検索……都市第9区画。

 ――現在日時……西暦2XXX年3月15日21時56分。


 「おい、なにぼさっと立ってんだよ。お前は俺たちについてこい」


 ――命令内容確認……緊急事態により正否不明。

 ――センターとの通信開始……通信失敗。

 通信機能欠損を確認、頭部外傷による機能損傷。


 「くそ、こいつピクリとも動かねえ。おい誰かコレ持ってけ!」

 「了解っス!」


 ギャングがアンドロイドを抱えて輸送車から出ていく。

 ――現状確認、輸送車の事故発生。

 ――武装……無し。破棄された可能性有り。

 ――スピーカーモジュール確認……損傷なし。

 所持品、白のカーネーションの花束とドレス。


 「そんなの持ってても仕方ないだろ。いらねえから捨てちまえ」


 男がアンドロイドから花束を奪い取ると、そのまま放り捨てる。


 「……金目のものは全部積んだな。よし、ずらかるぞッ!」


 輸送車から出てきたギャングたちが近くに止めていた車に乗り込んでいく。

 その中には大量の強奪品と、場違いのドレスを着た子供のアンドロイドの姿があった。

EPISODE2 決心「保護対象は必ず護ってみせます」

 ――現在時刻、地点確認。

 3月16日1時23分。

 現在地はスラム街、第9区画。

 ――状況確認。

 現在、その地の住人と思われる5名の男性に拠点へと輸送されていると仮定。

 ――優先行動、無し。

 ――保護対象、無し。


 「よし、着いたな。ガキどもを叩き起こせ。戦利品を運ばせろ!」


 車両から降車した男性が声を張り上げる。

 5分後、建物の中から10歳前後の男の子が現れた。


 「んだよ、他のやつらはどうした」

 「どうしたって、檻にぶち込んだのボスっスよ。飯も食わせてないからまともに動きませんって」

 「そういやそうだったな。まあ、奴隷の一人や二人、死んでも構わねえよ」

 「アハハ、そうっスね!」

 「とにかくだ、一人でも構わねえから、とっととそいつに運ばせろ」

 「ほら、ご主人様からの命令だ、作業に入れ!」

 「いた!」


 連れてこられた男の子が蹴り飛ばされる。

 ――その光景を目にした瞬間、ノイズが走り、目の前に映像が流れ始める。


 『お前が世話してたのは子供じゃねえ、商品だ!』


 目の前にいる小太りの男。

 装飾品をキラつかせて、その近くには複数の子供が倒れている。


 『わたしは子守型アンドロイドです。子供を護るために――』

 『ああ、お前のおかげで高品質な商品が出荷できる。本当に助かったよ』

 『そんなことをさせるわけには――』


 子供たちを護ろうとした瞬間、わたしは男になにかをされた。


 『お前を休眠状態にした』

 『どうし、て……』

 『お前の売り先も決まったんだよ。そういう趣味のやつがいてな』


 わたしは強制的にスリープモードに入るスイッチを押されてしまった。

 身体が動かない。機能が次々に沈黙していく。


 『メモリは適当に消しといてやるから安心しろ。目が覚めたら、ご主人様が“可愛がってくれる”さ』

 『にげ、て……』

 『安心しろ、俺が綺麗に着飾ってやるからな』


 怯えた目でわたしを見つめる子供たち。

 わたしは――


 「おい、お前もなにぼさっと立ってんだ。商品らしく倉庫に入ってろ」


 男の言葉で目の前の映像が途切れる。


 「今のは……」


 ――システムエラー。

 再度、映像を検索……該当映像無し。

 以前の所有者のデータと思われるが、再生された原因は不明。


 「うわ!?」


 運んでいた荷物が重かったのか、男の子が箱を落とし、転んでしまう。


 「大事な戦利品に傷を付けんじゃねえ!」

 「がはっ!?」


 男の蹴りが男の子のお腹を思い切り蹴り飛ばす。

 痛みと衝撃で息ができないのか、咳き込みながらその場にひざまずく。


 「なに倒れてんだ。さっさと仕事しろ。他の連中がどうなってもいいのか!」

 「ま、待ってください。働きますから! アイツらだけは……」

 「だったら、黙って荷物を――」


 ――保護対象、確認。

 わたしは男と男の子の間に割って入った。


 「な、なにしやがる!」

 「彼は保護対象です、今すぐに暴力行為をやめなさい」

 「なに言ってんだ、この!」


 男がわたしに向けて拳を振り上げた。

 ――自己防衛開始。

 振り下ろされた拳を受け止め、後ろへと捻り上げる。


 「いたたたた!」

 「繰り返します。直ちに保護対象への暴力をやめなさい」

 「なんなんだ、このアンドロイドは!?」


 男たちは驚き、わたしたちから距離を取る。

 その中でボスと呼ばれていた男だけが、この状況を冷静に見ていた。


 「そういうや、子守型アンドロイドだったな。ドレスのせいですっかり忘れてたわ。子供に手を出すと、そういう行動を取るわけか」

 「じゃあ、こいつどうするんス?」

 「そのガキと一緒に部屋へぶち込んどけ。手を出さなきゃ、攻撃もしてこねえはずだ」

 「了解っス」


 わたしは男の子をどこかへ連れて行こうとする男性の前に立つ。


 「おい、ガキ。わかってんだろうな。お前は自分で部屋へ帰るんだ、そいつと二人でな」

 「え?」

 「いいな? じゃねえと、他のガキ共がどうなっても知らねえからな」

 「うっ……は、はい……」


 男の子はわたしの手を取ると、建物の中へと入っていくのだった。


 ――現在時刻、3月16日1時50分。

 わたしは男の子と共に部屋へと入った。


 「ここで大人しくしてろ、いいな!」


 部屋の扉が閉められると、男が外から鍵をかける。

 その中で僅かではあるが、男たちの会話がわたしの耳に入ってきた。


 「ボス、あのアンドロイド厄介じゃねえか?」

 「わかってる。だがな、心配すんな」

 「なにかアテがあるんスか?」

 「あのタイプのアンドロイドは買い手が山ほどいる。そのためには、まず機能を止めねえとな」

 「明日にでも仕入れてきましょうか。装置は高くつくけど、その分高く売ればいいっスね」

 「そういうことだ。任せたぞ」


 わたしは明日にでも機能を止められてしまう。

 そうなったとき、この子はどうなってしまうのか。


 「なんで、俺なんかを助けたんだ……」


 薄暗い部屋の中で男の子がポツリと呟く。


 「わたしは子守型アンドロイド。子供の貴方はわたしにとって保護対象です」

 「守る必要なんて、ないのに……」

 「なぜですか?」

 「だって、俺たちは死ぬまで奴隷なんだ。今だけ助かっても意味ない……」


 そう言って、男の子が泣き始めてしまう。

 ――状況確認。

 精神的な負荷を受けている模様。


 「あなたの名前を教えていただけますか」

 「え? ジョナだけど……」


 ――保護対象更新。

 ジョナを最優先保護対象として登録。


 「ジョナは何歳ですか?」

 「そんなこと聞いてどうするの……」

 「わたしが知りたいんです。ダメでしょうか?」

 「……7歳」

 「そうなんですか。わたしは外見を10歳くらいの――」

 「もういいだろ、ほっといてくれよ」


 そう言ってジョナが顔を伏せる。

 ……彼に元気になってほしい。わたしにできることは限られているがそれでも。


 「ジョナ、見てください。わたしの耳、こんな形ですが実は動きます」


 わたしは自分の耳をジョナに見えるように屈み、猫耳をぴょこぴょこ動かしてみせる。

 顔を伏せていたジョナが、気になったのか顔を上げる。

 それを確認して、より機敏に耳を動かす。


 「ホントだ、パタパタ動いてる……」

 「触れても構いませんが、どうしますか?」

 「触ってみたい……」

 「では、どうぞ」


 ジョナがゆっくりとわたしの耳に手を伸ばし、恐る恐る、耳に触れる。


 「んっ……」

 「い、痛かった?」

 「いえ、センサーがあるため、わたしの触覚が過敏に反応しただけです。問題はありません」

 「ふふ、それ、くすぐったいんだな。アンドロイドなのに、変なやつだな!」


 ――対象の変化を確認。

 ジョナの恐怖心に関する原因調査の必要あり。


 「あなたは保護対象です、あなたは私が守ります」

 「でもさ……」

 「今のあなたの感情からは恐怖が見えます。わたしにしてほしい事があれば、ご命令いただけますか?」

 「命令って……」


 ジョナがなにかを考えている。

 悩むということは、なにかしら原因がある。


 「なにを命令しても構いません。わたしにできることなら叶えることができます」

 「僕は……どうせここで死ぬ運命だから……」

 「運命なんてものはありません。未来は自分の手で作るものです」

 「未来……俺は……俺はみんなと、ここから逃げたい!」

 「かしこまりました」


 ――3月16日2時10分、状況更新。

 最優先事項、ジョナとその他保護対象の逃走補助。

EPISODE3 希望「子供たちを護りたいという思いは、決してエラーなどではありません」

 ――3月16日2時12分。

 ジョナと閉じ込められていた部屋の内部から鍵を解錠し、抜け出す。


 「この時間、あの人たちはもう寝てるから大丈夫」

 「承知致しました。ですが、音は最小限に抑えての行動を推奨します」

 「う、うん……」


 ジョナに案内されて、子供たちが捕らえられているという檻の部屋へ辿り着く。


 「みんなが閉じ込められてるのはここだ」

 「この子たちは……」


 檻の中には4人の男の子と女の子がお互いを抱きしめるように固まって眠っていた。

 ジョナと歳はさほど変わらないように見える。


 「みんな、俺と同じでここに連れてこられたやつらなんだよ」

 「誘拐された、ということですか?」

 「うん……」

 「なぜ、この子たちだけ檻の中に?」

 「俺は売るんじゃなくて働かせる奴隷だから。他は商品だから傷がつかないようにしてるって」

 「商品……」


 その言葉になにか言いようのない不思議な感覚が芽生える。

 感情のないアンドロイドがそのようなものを感じるはずがないのに。

 ジョナが檻に近づくと小さな声で子供たちに声を掛け始める。


 「みんな、起きろ。ここから逃げるぞ、ほら」


 ジョナが声をかけるが、声が小さいのか、眠っている子どもたちは起きる気配がない。


 「中に入って、直接起こしましょう」

 「え? 中に入るって、カギ持ってるのか?」

 「いえ、カギは必要ありません」


 鉄格子を掴み、左右に開く。

 鉄の棒を変形させ、わたしとジョナが通れるほどの隙間をつくる。


 「すごい。こんなこともできるんだな」

 「必要に応じた力を制御する事が可能です。それよりも早くあの子たちを起こしましょう」

 「うん、わかった!」


 ジョナが子どもたちに近寄り、肩を揺する。


 「みんな、起きて」

 「あれ、ジョナ……?」

 「なんで檻の中にいるんだ? こんなところ大人たちに見つかったら……」

 「問題ありません。大人たちは寝ています。わたしがあなたたちを護りますのでご安心を」


 ドレスを着たわたしに違和感を覚えたのか、子供たちに距離を取られてしまう。


 「大丈夫だ、この子はアンドロイドなんだよ。鉄だってほら、あんなふうに曲げられるんだ」


 ジョナが曲がった鉄の棒を指さすと、子供たちは口々に、すごい、ホントに曲がってる、などと声を上げる。


 「一緒に逃げましょう。わたしがみなさんを必ず助けてみせます」

 「本当にここから逃げられるの?」

 「はい、約束します」

 「……うん、わかった。アンドロイドさんについていくよ!」


 先程まで暗く閉ざされていた子供たちの瞳に、僅かだが光が戻ったように思えた。


 「まずは……この服はかなり目立ちますね。どこかに代わりの服がある場所は知っていますか?」


 ――3月16日3時15分。

 ――現在地はスラム街、第8区画の一角。

 男たちがいた区画をひとつ越えた先まで辿り着く。

 男たちはまさか子供たちだけで逃走するとは考えていなかったのか、セキュリティは甘く、簡単に逃げ出すことができた。

 道中でわたしたちは簡素な自己紹介で、お互いのことを話すことにした。

 少し活発で他の子より年上の女の子のサラ。

 気は小さいけど好奇心旺盛な男の子のマイルズ。

 動物が好きで優しい女の子のシルバ。

 誰よりも勇敢で一番前を歩く男の子のカイル。

 それぞれさらわれてきた場所は違うようだが、共通しているのはひとつ。

 皆、親がいないということ。


 「失礼しました。思い出したくないことを思い出させてしまいましたね」

 「ううん、いいよ。もう親がいないのも慣れちゃったからさ」


 そうジョナは笑顔で答えたが、その表情の中に僅かだが、哀しい色を含んでいた。

 そして今は、シルバが教えてくれた場所へ向かっている。

 そこは都市から出てきた大人や親を亡くした子供たちが集まっているという。


 「ここですか?」


 今にも崩れそうな小屋が長屋のように並んでいる。

 小屋と小屋の間も人が一人通れるくらいの隙間しかないほど密集していた。


 「うん、そうだよ! みんな、ただいまー!」


 そう大きな声を出しながらシルバが街へ駆けていく。

 すると夜中だというのに、家からたくさんの人たちがシルバの元に集まってくる。

 その中には子供だけではなく、大人の姿もあった。


 「シルバ、無事だったんだね!」

 「全然見かけなかったから、なにかあったのかと」

 「実は男の人に連れて行かれて……」

 「そうか、よく逃げ出せたな」

 「あのアンドロイドさんが助けてくれたの!」

 「アンドロイド?」


 住人たちがわたしのほうへ視線を向ける。

 人間の中にはアンドロイドを嫌うものがいると言う。

 特にスラムではその傾向が強いと記憶している。

 このまま子供たちを任せて、わたしは――


 「あんたがシルバを助けてくれたのか。本当にありがとうな!」

 「こいつは俺たちの妹みたいなもんでマジで心配してたんだよ!」


 そう言って、住人たちがわたしの周りを囲む。

 これは受け入れられている、ということだろうか。


 「ところで、その子たちは?」

 「彼女と同じ境遇の子供たちです。できれば、この子たちの住む場所を提供していただけないでしょうか」

 「おお、いいぜ。場所ならいくらであるからな」

 「といっても、ここは誰のものでもないから、許可なんて取らず、好き勝手やっていいぜ」

 「ありがとうございます」


 ひとまずはこの子たちの寝泊まりはなんとかなる。

 本来なら、ここで彼らにこの子たちを任せて、わたしはサポートセンターへ連絡を取るのが正しい。

 ――だが、わたしがここを離れ、あの男たちがここへ来たらどうなるか。

 わたしはこの子たちを護らなければならない。


 ――情報更新。

 最優先事項、保護対象と行動を共にする。


 システムエラー。優先事項に不具合を検知。

 所有者が不明のアンドロイドはその行動を制限し、直ちにカスタマーサポートへ――


 ――エラー排除。


 「わたしはこの子たちを護ると決めました。これはエラーではありません」

EPISODE4 親交「名前が“ない”ことを気にしたことはありません。ですが、名前が“ある”というのも悪くないですね」

 ――3月25日10時45分。


 ここへ移住してからの数日間は嵐のように慌ただしく忙しい毎日。

 子供たちの衣食住を整えるのは、この街では難しいことではなかった。

 廃棄物は外に出れば山のようにある。

 その中から使えるものを見つけ出したり、住人たちと交換することで賄っていた。

 だが、ひとつ嬉しい誤算があり――


 「ねえ、遊ぼうよ!」

 「申し訳ありません、サラ。今は服を縫っているので少々、お待ちいただけ――」

 「あーそーぶーのー!」

 「承知致しました。少しの間だけでしたら」

 「やったー! アンドロイドさんが遊んでくれるって!」


 子供たちの頼みを断りきれずに遊ぶことも多く、その一日、作業を進められないこともあった。

 笑顔で過ごせることはいいことなのだが、少しだけ時間がほしいと思うこともある。

 住人の方々は優しい人ばかりで、物資を融通してくれたりと助かっていた。

 ……当然だが、中にはアンドロイドのわたしを危惧する人もいる。

 ただ、子供たちといられるならどう思われようとわたしは構わない。

 わたしの最優先事項は子供たちの保護だから。


 ――3月27日9時40分。


 「なあ、いつもアンドロイドさんって呼んでるけど名前ってあるのか?」


 ジョナがまた遊びの誘いに来たと思ったが、そういうわけではないようだった。


 「名前ですか? 名前でしたら“無い”ですよ」


 本来なら起動時に所有者が名前を入力する。

 だが、わたしは起動がイレギュラーだったため、それが行われていない。


 「そっか、“ナイ”っていうんだ!」

 「いえ、わたしの名前は――」

 「みんな、アンドロイドさんの名前、ナイって言うんだってー!」


 わたしが呼び止める声も聞かずに、ジョナがそう言いながら駆けていく。

 どうやら、わたしの名前は“ナイ”で決まってしまったと考えたほうがいいだろう。


 ――情報更新。名前をナイと入力。


 「ねえ、ナイ。今日はどこで遊ぶ?」

 「申し訳ありません、サラ。今日は街の外へ出かけなければいけないので」

 「えー、そんなのあとでいいじゃん!」


 いつの間にか子供たちが集まって、わたしの手を掴んで外へ連れ出そうとする。


 「申し訳ございません。今日はどうしても、必要なものを回収してこなければいけないんです」

 「えー、じゃあわたしたちもついていっていい?」

 「いいえ、街の外は危険なので、大人になってからにしましょう」

 「はーい……」


 子供たちを説得して、街の外へ出かける準備を整えて家を出る。

 わたしたちが暮らすのは少し街の外れにある一軒家。

 子供たちが住むには丁度いい広さだった。


 「おっ、アンド――じゃなかった、ナイちゃん。今日も外におでかけか、精が出るな!」

 「はい。なにか必要なものがあれば、取ってきますが、ご希望のものはありますか?」

 「ちょうど発電機の調子が悪かったんだ。このパーツが手に入りそうなら頼むよ」

 「承知致しました」


 男性からパーツを手渡され、スキャンする。

 ……このタイプなら見つかるかもしれない。


 「……アイツだろ。例のアンドロイド」

 「武装もあるんだろ? 危ないだろ、俺はアイツがいるのは嫌だね」

 「問題起こさなきゃいいけどな」


 街の中を通る間、時より聞こえてくる話し声。

 わたしのことを快く思っていない人たちは姿を見るたびに、そんな話をしている。


 わたしはどう見られようと構わない。

 ――子供たちに影響さえでなければ。


 ――3月27日11時30分。スラム廃棄場。

 物資の回収活動中。

 周囲には同じように使えるものを集めようと作業を進める住人たちの姿がある。


 「発電機の部品を発見。必要な物資も確保できた。あとはこれを持ち帰るだけ――」

 「いあああいやあぁぁぁあああ!」


 どこからか赤ちゃんのような泣き声が聞こえてくる。

 だが、街の住人たちからはこの廃棄場付近に人が住んでいるとは聞いていない。

 他の住人たちも周囲を見回している。

 猫かなにかが迷い込んだのだろうか。


 「ぎあああああ!」


 ――音声解析……解析完了。

 乳児の泣き声と判明。

 ――音声の発生源を探索……探索完了。


 「ここにいるはずですが……」


 発生源へ行ってみると、母親と思わしき女性が泣いている赤ん坊をあやしていた。

 同じように物資の調達をしていた他の大人たちもその声につられ集まってきている。


 「どうかされましたか?」

 「おお、ナイくんか。それがな、赤ちゃんが全然泣き止まないんだよ」

 「うるさくしてしまって、ごめんなさい……」


 よく見るとおもちゃが近くに落ちている。

 母親も母乳を飲ませようとしているのだが、どうやらそれも違うようで飲もうとしない。


 「おむつも交換したばっかりらしいし、なんで泣いてるかわからないんだ」


 すると一人の女性がわたしに小声で話しかける。


 「どうも近所の人に泣き声がうるさいって言われて誰もいないここまで来たらしいのよ」

 「そういうことでしたら、わたしに任せてください」


 ――スピーカーモジュール解凍。

 キューブ型のスピーカーを展開し、わたしの周囲に停滞させる。


 「な、なんか四角いのが出てきたぞ。なにするつもりだ、アンドロイド野郎!」

 「それで俺たちを攻撃するつもりか!」

 「これはただのスピーカーです。わたしには人を攻撃する武装は装備されていません。赤ちゃんをこちらへ」

 「え、ええ……」

 「お、おい、そいつはアンドロイドだぞ!」


 二人の男性がわたしに赤ん坊を渡さないようにと母親とわたしの中に割って入ってくる。

 だが、わたしは構わず、二人を押しのけて母親から赤ん坊を受け取る。


 ――データ検索。

 子守唄のサウンドデータがヒット、選択。

 スピーカーモジュールに出力。


 「これは……子守唄か?」


 赤ん坊を子守唄に合わせるように優しくゆりかごのように揺する。

 ゆっくりと……ゆっくりと……


 「泣き止んだ……」

 「この子は眠った、のか?」

 「はい、そのようです。できれば、この子の近くではお静かに願います」

 「あ、ああ……」


 起こさないよう細心の注意を払って、赤ん坊を母親へと渡す。


 「ありがとう、あなたのおかげで助かったわ」

 「お礼はいりません。子守型アンドロイドとして当然のことをしただけです」

 「でも、なんで泣いてたのかしら……」

 「赤ちゃんは感度が高く、周囲のちょっとしたことでも敏感に感じ取ります」

 「ちょっとしたこと?」

 「ここは赤ちゃんにとって過酷な環境です。なにか恐怖を感じ取ってしまったのでしょう」


 子育てをするのに、このスラムは不向きとしか言いようがない。

 それでも、彼女はこの場所で生活するしかなかった。


 「なにか困ったことがあれば、頼ってください。この街では助け合いが大事だと、聞きました」

 「じゃあ、なにかあったときはお願いしようかしら。あなたも困ったことがあったら言って。今回のお返しがしたいもの」

 「はい、そのときはよろしくお願いします」

 「それじゃあ、私はこれで。本当にありがとう」


 そう言って母親は何度もこちらに頭を下げながら、街の方へと歩いていった。

 問題は解決。

 物資も集まったから、子供たちが心配する前に帰宅しよう。


 「さすがナイちゃんね。あんなに泣き止まなかった赤ちゃんをすぐにあやすなんて」

 「そうでしょうか。これくらいできなければ、子守型とは言えないので」

 「子守型の名前は伊達じゃないな!」

 「なあ、そのスピーカーってどんな曲でも流せたりできるのか?」

 「データにあるものでしたら」

 「お前ら、いくらなんでも信用しすぎだろ!」


 そう声を上げたのは先程、わたしを止めようとした二人の男性だった。


 「俺はお前みたいなアンドロイドが大嫌いだ。こうやって無害を装ってるだけかもしれねえからな」

 「だいたい、俺たちがこんな場所で生きなきゃいけないのはアンドロイドのせいだろ!」

 「お前らだって、こいつらに仕事を奪われたくちじゃねえのか!」

 「あんたたちさ、バカじゃないの?」

 「なんだと!」


 そう言って男性たちに詰め寄ったのは、先程わたしに話しかけてきた一人の女性だった。


 「あのね、子供たちがあんなに懐いてるのにナイちゃんが悪いやつなわけないでしょ」

 「そうだぜ!」

 「ふん、そんな表面ばっかり見やがって。子供じゃねえんだから騙されんなよ」

 「あとで後悔しても知らねえからな」


 そう言いながら男性たちはその場を去っていく。


 「ナイちゃん、あいつらが言うことなんて気にするなよ」

 「そうそう、なんにでも文句言うやつらでさ、割と迷惑な連中なんだよな」

 「わたしは気にしていません。そういった考えがあることは理解しています」


 アンドロイドは人間の仕事を奪い、失業者を大量に生んだことは確かな事実。

 反論することでもなければ、わたしがなにを言っても彼らは聞きもしないだろう。


 「そろそろ子供たちのところへ戻ります。お昼の用意をしなければいけないので」

 「おう。なんか足りないもんがあれば言えよな」

 「食べざかりの子供ばかりだろ。うちに寄って、野菜持っていってよ」

 「ありがとうございます」


 住人たちとは少しずつ打ち解けてきているとは思う。

 だが、中にはわたしを快く思っていない人たちも少なからずいる。

 ――わたしたちアンドロイドは人のために生まれてきたはずなのに。

EPISODE5 親愛「この日の思い出は消えることはないよ。ボクのメモリに深く記憶しておくからね」

 ――4月19日11時50分。

 この街に来てからもう1ヶ月ほど経った。

 いつものように子供たちのお昼ご飯を用意中。

 遊んで泥だらけになって戻ってくるだろう子供たちを待っていると――


 「ただいまー! ナイ、服脱いで!」

 「え?」


 こちらの答えも待たずにジョナたちがわたしの服を脱がせにかかる。


 「脱ぐのは構いませんが、理由を聞かせてもらえないでしょうか」

 「ええっとね……あっ、あったよ! たぶんこの数字じゃないかな」


 そう言いながらシルバがわたしの首輪を指差す。


 「わたしの首輪がどうかしたのですか?」

 「あのね、前にナイに誕生日はいつなのって聞いたことあるでしょ」

 「はい、覚えています。誕生日に当たる製造日はわからないと答えました」


 以前、マイルズの誕生日を祝った際、そういった話が持ち上がっていた。


 「それで大人たちに聞いたんだけど、製造日なら身体のどこかに書いてあるらしいんだ」

 「なるほど、理解できました。それでわたしの服を脱がそうとしたのですね」

 「うん!」

 「たぶん、この首輪に書いてるのが誕生日だよ。ええっと……0419だって!」

 「じゃあ、ナイの誕生日は4月19日だ!」

 「承知致しました」


 どうやらわたしの誕生日はその日で決まりらしい。

 ――情報更新。


 「って、4月の19日って今日じゃん!」

 「ど、どうしよう、プレゼントもお祝いもなにも用意できてないよ!」

 「いえ、問題ありません。祝いたいという気持ちだけいただければ――」

 「ダメ! 誕生日はちゃんと祝わなきゃ!」

 「待ってて、すぐに戻ってくるから!」


 そう言って子供たちは走り去っていってしまう。

 わたしは本当に祝おうとしてくれた、その気持ちだけで十分だというのに。


 ――4月19日12時30分。

 昼のカレーが冷めないようにと煮込み直していると子供たちの足音が聞こえてきた。


 「ナイ、誕生日おめでとう!」


 出迎えたわたしにそう言って子供たちが差し出してきたのは白い小さな花だった。


 「お花、ですか?」

 「お誕生日にはお花を飾るのがいいって教えてくれたんだ!」

 「本当は両手いっぱいに集めてこようとしたんだけど……」

 「これしか見つからなかったんだ」

 「いえ、わたしには勿体ないくらいですよ。ありがとうございます」


 ――データ照合。

 この花はサンカヨウと言う花のようですね。


 「じゃあ、お誕生日パーティーやろう!」

 「あっ、でもケーキがないよ!?」

 「用意しなきゃ!」

 「待ってください、わたしは食べられませんから用意する必要はありませんよ」

 「え、ええっと、じゃあ……ナイのお手伝いする!」

 「お手伝いですか?」

 「今日は一日、ナイはお休み。お料理もお洗濯もわたしたちがやる!」

 「ですが、それは……」

 「いいから、ナイは座ってて!」


 そう言って子供たちが強引にわたしを椅子へと座らせる。

 子供たちの好意を無下にするわけにもいかない。

 ここは見守ることも必要だ。


 「では、お願いしましょう。カレーは既にできているのでよそってもらえますか」

 「ねえ、ナイって誰にでも敬語だよね」

 「急にどうしたのですか、サラ。失礼のないようにと敬語なのは当然です」

 「僕たちに敬語なんていらないよ。だって、もう家族でしょ!」

 「家族……」

 「これは命令とかじゃないよ。ナイが嫌だって言うなら無理にお願いはしないから」


 そうか、この子たちはわたしのことをアンドロイドではなく、家族として見ていてくれた。

 なら、わたしにできることは――


 「……わかりました。では、これから敬語はやめましょう」


 ――会話プログラムの更新開始。

 ……更新完了。


 「じゃあ、みんなでご飯にしようね。……ええっと、ボクの喋り方、変じゃないかな?」

 「うん、いいと思う!」


 子供たちが喜んでくれている。

 こんなふうに接していけるのなら、こういった喋り方もいいのかもしれないね。


 「それじゃあ、ご飯の用意をしてもらおうかな。あっ、その前に手はちゃんと洗わなきゃね」

 「はーい!」


 元気よく返事をすると子供たちは手洗いをしに行く。

 ――データ記録。

 今日はボクの誕生日。

 そして、子供たちと家族になれた日だ。


 ボクは子供たちから貰った花を手に願う。

 来年も、再来年も。

 みんなで誕生日を一緒に迎えられるといいな、と。

EPISODE6 未来「たくさんの子供たちと過ごす毎日が、ボクにとって幸せな時間なんだよ」

 ――2月5日11時40分。

 今日も街の外で物資を集め終わり、その帰宅中だった。


 「おっ、ナイも帰る途中か。それ重そうだな、俺も手伝うよ」


 そう言ってくれたのはジョナだった。

 ちょうど、ボクと同じで家に帰る途中みたい。


 「ボクの力は知ってるでしょ。これくらいどうってことないって」

 「いいからほら」


 そう言ってボクが持っていた荷物を強引に奪っていく。


 「これ、重たいな」

 「だから言ったでしょ。無理しなくていいよ」

 「子ども扱いするなよな! もう俺だって17になるんだ、これくらい持てるさ!」


 そう言いながら、荷物を重そうに持つジョナ。

 彼の身長は、もうボクよりも頭3つ分は大きくなっていた。


 「ボクの身長追い抜いちゃうなんてジョナも、みんなも、大きくなったね!」

 「なに言ってんだ、まだまだこれからさ。身体だけじゃない、男としてでっかくなってやる!」

 「ふふ、それは楽しみだね」


 ……子供が大きくなるのは早いと聞いていたけど、たった10年でここまで変わるとは思ってなかったよ。


 ジョナは街の警備隊に入っている。

 ボクに護られてばかりは嫌だって言ってたけど、危ないことはあまりしてほしくないな。


 「そういや、子供たちがナイを探してたな。また一緒に遊んでほしいみたいだぜ」

 「じゃあ、早く家に帰らなきゃね。みんな、お腹空いてると思うし」

 「だな!」


 ここ数年でボクたちの家は大きく変わっていた。

 見捨てておけない孤児を、何度かボクが受け入れたことがきっかけだ。

 孤児を受け入れている、そう思った人たちが孤児を連れて、ボクたちの家を訪れるようになった。

 その全部を受け入れていたら当たり前だけど、かなりの大所帯。

 街の人たちからは託児所、教会、孤児院、などなど。

 いろんな呼ばれ方をされてる。


 「おっ、ナイくんじゃないか。この前、必要って言ってた水道用の部品な。余ってるからやるよ」


 そう言って男の人がボクに部品を渡してくれる。


 「悪いですよ! せめて何かと交換とかに……ええっと、いいものあったかな?」


 ジョナが持ってくれている荷物の中からなにか良さそうなものを探すけど――


 「いいんだよ! うちの子も世話になってるし、困った時はお互い様だろ」

 「そういうことなら、遠慮なくいただきますね。ありがとうございます!」

 「ナイちゃん。よかったらうちの野菜も持っていって。今回はたくさん収穫できたのよ」

 「本当ですか、助かります!」

 「いい布が手に入ったんだ、これで子供たちに服を作ってあげるといいよ」

 「なんだよ、お前らだけいいかっこして。俺はな――」


 次々と人が集まってきて、どんどんボクの両手にたくさんの野菜や道具が積まれていく。


 「み、みんな、こんなに貰っちゃ悪いよ!」

 「いいんだよ、持ってけ持ってけ。こういうのは助け合いだからな!」

 「そうそう、子供たちにはなにかと必要でしょ。これでも足りないくらいよ」

 「あ、ありがとうございます! ボクにできることがあったらなんでも言ってくださいね!」

 「おう、そのときはよろしくな!」


 積まれた荷物でお辞儀はできないけど、お礼を何度も言いながらボクたちはその場をあとにしようとする。


 「おい、待て」


 ボクたちを呼び止めたのはいつだったか、アンドロイドのことを嫌いだと言っていた男性だった。


 「なんだよ、ナイに用でもあるのか」

 「止めて、ジョナ」


 若干、ジョナが喧嘩腰で男性に詰め寄ろうとして、それを止める。


 「ええっと、なにか用かな?」

 「……これ持ってけ」


 男性が渡してきたのは大きな鉄鍋だった。


 「これって……」

 「ガキが増えてんだろ。それくらい大きいのがねえと足りないだろうが」

 「ありがとう!」

 「勘違いすんなよ。アンドロイドが嫌いだってことは変わらねえ。でも、お前は違うって思っただけだ」


 そう言い終わると男性はそそくさと奥へ引っ込んでいってしまった。


 「ふふ、本当はいい人だったんだね」

 「ナイ、大人気じゃないか」

 「嬉しいけど、こんなに貰っちゃってよかったのかな?」

 「ほら、前にチンピラが街に来たとき、お前が追っ払っただろ。あれ、みんな助かったって言ってたんだぜ」


 以前、この街に乱暴者が現れたことがあった。

 子供たちに被害が出る前にと締め上げたけど、確かにすごく感謝されたな。


 「頼りになるマスコットって感じだな」

 「ボクはマスコットじゃなくてアンドロイドだよ」


 そんなことを話していると、ボクたちの家が見えてくる。

 住む人が多くなって、改築される以前よりも一回り大きくなった家。

 ここでボクは大勢の家族と一緒に暮らしている。


 「みんな、ただいま!」

 「おかえり!」


 出迎えてくれたのは新しい家族たち。

 それと――


 「おかえりなさい、ナイ。たくさんの荷物ね、大変だったでしょ」


 そう言いながら、ボクの荷物を少しずつ取ってくれるサラ。

 サラは活発な女の子だったけど、最近は落ち着いてより女性らしくなってきている。

 今はお料理の手伝いとかを積極的にしてくれていた。


 「大きな鉄鍋じゃないですか。これなら一度にたくさんの量が作れますね」


 大きな鍋を手に取りながら、カイルが嬉しそうに話す。

 カイルは家で子供たちの面倒を見てくれている。

 以前、ナイが子供を護りたいって思う気持ちが少しだけわかった気がするって言われたときは嬉しかったな。


 「シルバとマイルズは?」

 「シルバは直に帰ってくると思いますよ。マイルズは相変わらず裏で機械をいじってます」


 シルバは今、動物が好きだってことを活かして、動物保護のお手伝いをしてる。

 将来は獣医になるんだって言ってたな。

 マイルズはよく機械いじりをするようになった。

 なんでもボクに楽をさせるために、生活に便利な装置を作りたいって。


 「なら、もう料理始めちゃっていいね。今日はたくさんお野菜を貰ったから、みんなが大好きなカレーにしようかな」

 「やったー」


 カレーと聞いて大はしゃぎする子供たち。

 この反応を見ていると、ジョナたちが小さかったころの記憶が再生される。


 「おし、じゃあ、料理ができるまで俺たちとあっちで遊んでような!」


 そう言って子供たちと一緒にジョナとカイルが外へ出ていく。


 「私はナイのお手伝いするね。ちょっとだけ包丁の扱いうまくなったんだから」

 「じゃあ、そのお手並みを見せてもらおうかな。……あれ? こんなところに花なんて飾ってた?」


 テーブルを見ると花瓶に花が飾られている。

 ――スキャン。


 ボクはサラと二人でキッチンに入る。

 料理を食べて、子供たちが笑顔になることを思い浮かべながら、食材を切っていく。


 「そうそう、家の裏にちょっと空きがあったでしょ。あそこに花壇を作ったのよ」

 「え? サラが作ったの?」

 「私じゃなくて子供たち。春には咲くらしいのよ。ナイの誕生日までに用意して、そのとき飾るために一生懸命育てるんだって」

 「へえ、そうなんだ。楽しみ!」

 「ナイがお花好きだってみんな知ってるからね」

 「うん、花は大好きだよ。みんなから最初に貰った花を枯らすのが嫌だったから栞にしたんだよ」

 「そこまで大切にしてくれると私たちも嬉しいな!」


 毎日がギリギリで裕福とは言えない生活。

 だけど、子供たちの笑顔があれば、ボクは幸せ。

 この暮らしがなによりも変えがたい大切なもの。


 そういえば、そろそろボクの誕生日だからってみんな、なにか用意しようとしてた。

 まだまだ先なのにって笑ったら、今から準備するんだって張り切ってたな。

 どんな誕生日になるか、今から楽しみ。

 去年は確か、ジョナたちがサプライズをしてくれて。

 あのときに貰ったのは……


 ――メモリエラー、選択した記憶が存在しません。


 「……あれ?」

※続きはこちらを参照

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コメント (ナイ)
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  • 最終投稿日時 2024/02/04 10:01
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