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CHUNITHM【チュウニズム】攻略wiki

美咲 杏奈

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【キャラ一覧(無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN)】
スキル一覧(~PARADISE LOST)】【マップ一覧

※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。

  • このページに記載されているすべてのスキルの効果は、CHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです(限界突破の証系を除き、NEW以降で入手・使用できません)。
  • 専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター(いわゆるトランスフォーム対応キャラ)は、RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

Illustrator:シノアサ


名前美咲 杏奈(みさき あんな)
年齢13歳
職業中学2年生

お菓子作りが好きな少女。

ある日見つけた古びた本から不思議な生き物が飛び出し…?

スキル

RANKスキル
1コンボエッジ・シャープ
5
10
15
25限界突破の証
50真・限界突破の証
100絆・限界突破の証

  • コンボエッジ・シャープ [TECHNICAL]
  • コンボエッジ」の条件が厳しくなり、その分ボーナスが高くなったもの。基本的にあまり使うスキルではないが、一部高難易度曲でのクリア狙いに有用となる。精度が高ければゲージ6本まで可能。
  • 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
  • PARADISE ep.Iマップ4(PARADISE時点で累計270マス)クリア
プレイ環境と最大GRADEの関係
プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し+3
あり+7
PARADISE
(~2021/8/4)
無し
あり+19
CRYSTAL無し
あり+20
AMAZON無し+15
あり+20
STAR+以前
GRADE効果
初期値500コンボを達成した場合
ゲーム終了時にボーナス +42000
+1〃 +43000
+2〃 +44000
+3〃 +45000
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
+4〃 +46000
+5〃 +47000
+6〃 +48000
+7〃 +49000
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+8〃 +50000
+9〃 +51000
+10〃 +52000
+11〃 +53000
+12〃 +54000
+13〃 +55000
+14〃 +56000
+15〃 +57000
+16〃 +58000
+17〃 +59000
+18〃 +60000
+19〃 +61000
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(PARADISE以降では未登場)
+20〃 +62000
理論値:105000(6本+3000/24k)[+3]
理論値:109000(6本+7000/24k)[+7]
理論値:117000(6本+15000/24k)[+15]
理論値:121000(6本+19000/24k)[+19]
理論値:122000(6本+20000/24k)[+20]

所有キャラ【 グレン / イセリア(1) / ソウル・ブラザーズ / 三田 ナナコ(1,5) / ジェフティ(1,5) / セーレ(1,5) / セラフィナ(1,5) / 美咲 杏奈

PLUSまでの旧仕様

AIRバージョンからボーナス量が増加した。STARバージョンで所有者も増えた。

初期値500コンボを達成した場合ゲーム終了時にボーナス +40000
GRADE UPコンボ達成ボーナス +1000増加(最大+44000)

▲ ページトップ

ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
~50
スキル
~100
スキル

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STORY

EPISODE1 ハジマリノヨカン「その日私は……不思議なレシピを見つけてしまったのです!」

 私の名前は美咲杏奈! 今をときめく中学2年生!

 恋にオシャレにお勉強……毎日とーっても大忙し!

 でも、かかせないことがあるんだ。

 それは、お菓子を作ること!

 知ってる? お菓子ってすごいんだよ!

 食べたらたちまち元気が沸いてきてー、気付いたらみんな笑顔になっちゃう!

 いつか、世界中の人に私のお菓子を届けたい!

 そ・れ・が、私の目標なんだ!

 それともうひとつ、身近な目標があるんだけど……それはナ・イ・ショ。

 よーし、今日も元気にお菓子作りやっちゃうよー!


 ――って思ってたんだけどね。


 「杏奈! また出しっぱなし! ちゃんと片付けなさい!」

 「ふぇぇぇぇぇぇっ!」


 片付け終わるまでキッチン使っちゃダメなんて……そんなのオーボーだよね。

 よーし、お部屋のお掃除なんて、ちょちょいっと終わらせよう!

 いらない使わないものは物置にぽいしちゃおうっ!


 「おっとっと」


 大急ぎで片付けていたら、何か落ちてきた。

 これって……


 「本?」


 それはとっても古そうで分厚い本。


 「こんなのしまったっけ……?」


 ちょっと埃っぽいそれを開いてみると、そこに書かれていたのは――


 「これ、全部お菓子のレシピだ! すごーい、見つけられてサイコー気分かも!」


 『君、見ているプイね!』


 ん? んん?

 今、声が聞こえたような?


 「はえ? はえーーーーーー!!」


 ――って、本が勝手にめくれてる!?

 しかもなんか光ってるような……?


 「やっと会えたプ――イッ!?」

 「びょっ!?」


 突然本の中から何かが飛び出してきて、私の顔にぶつかった。


 「もう、どうなってるの!」


 顔を上げたら、そこにはちんちくりんの変な生き物。


 「や、やっと会えたプイ~!」

 「うぇ~!? なんか出たぁ~!?」

EPISODE2 オカシナヨウセイ「本からお菓子の妖精が出てきちゃった!? これっていったいどういうこと~!?」

 たいへんたいへ~ん!

 本を読んでたら、変な生き物が出てきちゃった!


 「そんなに驚かなくても大丈夫プイ。僕はお菓子の妖精のホイッピーだプイよ」

 「妖精!?」


 なんだかすっごくファンシーだけど……このコ、かわいい?


 「ぷいっぷいぷい。魔法のレシピ本が読めたということは、君には魔法使いの素質がある……そういうことプイ!」

 「マホーツカイって言いました!?」


 自称ホイッピーはうんうんと頷いている。

 やっぱりこれって夢?


 「んー……あたたたた」


 ほっぺたをつねったら、ちゃんと痛かった。


 「うーん、夢じゃないっぽい……」

 「失礼プイねー。目の前に居る妖精の僕を見ても、まーだ信じられないプイ? プイプイ?」


 なんだか微妙にムカムカするような……って、そうじゃなくて!


 「魔法使いってことは魔法が使えるの? どうやって? どうやってー?」

 「ようやく乗り気になったプイね。まずはこの魔法のステッキを使って変身プイ!」

 「これが魔法のステッキ……うんうん、泡だて器みたいでかわいい!」

 「見てないで早く変身するプイ!」

 「はーい。えいや!」


 ステッキを振ると、頭の上にぽんっと服が出てきた。

 ふんわりスカートに大きなコック帽がとってもキュートなコーデだね!

 しかもどこからだろう……ポップな音楽も聴こえてきて、なんだか楽しくなっちゃう!


 「何をしてるプイ? 早く触るプイよ!」

 「え? えぇぇぇぇぇ!!??」


 服が……服が、どこかに消えちゃった。


 「な、なんで!? どこに行っちゃったの!? 戻っておいで~!」

 「ぷいっぷい。何をやってるんだプイ。音楽が流れている間に触らないと、消えちゃうプイよ」

 「先に言ってよぅ!」


 仕方ないので、もう一回ステッキを振ってみる。


 ――今だ! 頭からかぶっちゃえ!


 ぴょんと飛び跳ねて衣装を掴んだ瞬間、私の体は光に包まれて……コック帽をかぶったら――


 「魔法使いのできあがり!」

 「おぉー、似合ってるプイ」

 「……これ、ほんとに魔法使いの衣装?」


 なんというか、それっぽくないような……むしろパティシエっぽいような……。


 「ちゃんと魔法使いの正装プイ! それはまだ見習いプイけど」

 「見習い……って、まだ本物じゃないってこと?」

 「見習いを卒業するには、オリジナルのレシピで本の空いているページを埋めないといけないプイ」

 「へぇ~、それってどれくらい?」

 「自分で見るプイ」

 「え~……どれどれ……」


 1、2、3……あれ、どんどん増えてない!?


 「ざっと20枚プイね」

 「ほえぇぇぇぇ!!」


 オリジナルのレシピを20コなんて……

 めちゃくちゃ大変だよぅ!


 「……でも、これで本に載ってる魔法のお菓子が作れるんだよね。これで誰かを笑顔にしていけば、本物の魔法使いになれるなんて、サイコー気分だよ!」

 「その意気プイ!」


 あれ? でも魔法ってお菓子だけ?


 「ねぇねぇ、魔法ってどんなことができるの?」

 「なんでもできるプイ」


 おー、それはいいこと聞きました!


 「それじゃあまずは、空をババーンと飛んじゃおう! 魔法使いならトーゼンだよね!」

 「無理プイ」

 「え……えーと、別の場所にワープ! とか!」

 「無理プイ」

 「じゃあ炎を出すとか!」

 「無理プ……いや、それはできるプイね」

 「あ、できるんだ」

 「ただ、お菓子作りに限るプイ」

 「つまり?」

 「魔法のお菓子が作れるプイ」

 「そうなんだ……」


 案外魔法使いっぽくないんだね……。


 「でもでも、魔法のお菓子は作れるんでしょ?」

 「そうプイ。みんなを笑顔にするプイよ!」


 それならまるっとおっけーだよ!


 「よぅし。見習い頑張っちゃうぞーっ!」


 まずは挑戦から!

 とっても不思議な魔法のお菓子、すっごく楽しみ!

 美味しく作ってみせるからね!

EPISODE3 ミナライセイカツ「私は、魔法使い見習いになったのです! 魔法のお菓子、ばんばん作っちゃお~!」

 魔法使い見習いになって、日課が増えました!

 魔法のお菓子のオリジナルレシピを考えてるんだ。

 みんなが幸せを感じれるお菓子を作りたいんだけど、全然上手くいかなくて……。


 「とりあえずレシピにあるのを作ってみるのはどうプイ?」


 そう言われても、食べて何か起こるんだったら、試食もできないしなぁ。


 そんなこんなで宿題をやるのも忘れちゃって……もういっそのことゴミ箱にえいやーって、投げちゃいたいくらいだよぅ。


 それでも、学校の時間は――やってくるのです。


 「おはよう。眠そうだね、杏奈ちゃん」


 机でぐったりしていると、お隣の席からいつもの声。


 「えへへ……おはよう。ちょっと夜更かししちゃって」

 「もう、学生の本分は勉強、だよ?」

 「わかってるー。マイちゃんは真面目だねぇ」

 「杏奈ちゃんが不真面目なんじゃない?」

 「うぐぐぅ……」


 この子は私の親友、愛媛マイちゃん!

 とってもかわいくてー、おしとやかでー、勉強もできてー……ええっと、文武両道ってやつ?


 ――あ、そういえば!


 「そうだ。マイちゃん、これ読んでみて?」

 「わっ、立派だけど……とっても古い本ね」

 「家にあったんだー。ずいぶん前にお父さんがレアものだって買ってきたらしいんだけど……」

 「なるほどなるほど……う~ん、何語なんだろう? 調べないと読めなそう……」


 ホイッピーが言ってた通り、本当に魔法使いにしか読めないんだ!


 ――どかーん!


 「ひゃあ!?」


 え? え? なになに!?

 音をした方を見ると、そこいたのは――


 「みんな、驚かせてごめん。大丈夫だから」


 とっても爽やかで優しい笑顔。

 彼の名前は杉山恭介くん。

 いつもクラスの中心に居る人気者!

 それと……みんなの、憧れなんだ。

 床に座っているのは高橋恵太くん。

 お調子者だけど、スポーツ万能で、恭介くんとはいいコンビなんだよね。


 「あたたたた……」

 「あんなに椅子揺らすからだよ、恵太。大丈夫?」

 「心配遅ぇ!?」

 「だって恵太、頑丈だから」


 微笑む恭介くん……素敵っ!

 もう遠くから見ているだけでも幸せ。

 それはきっとクラスの女子ならみんな同じ――


 「……………………」


 ――って、マイちゃん!?


 「マイちゃんさんマイちゃんさん?」

 「……な、なに?」

 「もしかして、マイちゃんもついに恭介くんの魅力に……」

 「ち、違うよっ!? 私は全然興味ないもの!」


 そう言いつつも、顔が赤くなってるような……。


 「実は高橋くんを見てたりして?」

 「……ッ!? そ、そんなこと……ないよ?」

 「あー、やっぱりー?」

 「それより、もうすぐ一限目始まっちゃうよ! ちゃんと準備しなくちゃ」

 「準備? 教科書ならすぐ出るよ?」

 「どっちかというと、心構え? 今日はテストが返ってくるでしょ?」

 「うぇっ、そうだったぁ……どうやって隠そう……」

 「もぅ、すぐに隠そうとするんだから……」

 「ぐぇぇぇ……」

 「今女の子が出しちゃいけない声が聞こえたプイ」

 「プイ?」

 「み、見つかったらお母さんにプイプイ怒られちゃうかもって!」


 な、なんでホイッピーが私のカバンの中に!?

 と、とりあえず押し込んでおかなきゃ!


 「い、イタイプイ……」


 そんなことをしている間に、いつの間にかお昼の時間。

 うちの学校は給食だから、何が出てくるのかわくわくするのです!


 「42点で赤点ギリギリ回避……よかったぁ。マイちゃんはどうだった?」

 「えっとね、94点だったよ」

 「おぉ、相変わらずすごい! ……って、あれ? 満点じゃないなんてめずらしい……」

 「あはは……ちょっとしたミスしちゃって」

 「まさか……悩み事でもあるんじゃ?」

 「ううん。そういうのじゃないよ。私も寝不足だったのかも、なんて」


 そうかなぁ……なんて思っていたら、マイちゃんの後ろから視線を感じた。

 あれって、高橋くん?


 「はぁ……」


 なんかおっきなため息――って、えぇ!?


 「マイちゃん、いつもはばーんと食べるのに、まだこれだけ……!? も、もしかしてダイエット?」

 「あ……その……うん」


 全然太っていないマイちゃんがダイエット?

 あ……ひょっとすると――


 「ねぇねぇマイちゃん、それってもしかして、高橋くんが関係してたり!?」

 「……ぇ!?」


 あ、当たっちゃったーっ!?

EPISODE4 マホウノオカシ「作ってみよう♪ やってみよーう♪ 親友の笑顔のために、魔法のお菓子に挑戦だ!」

 家に帰ると、すぐにベッドへダイブ。

 頭の中、こんがらがってぐるぐるだよー。


 「うー、高橋くんめ~!」

 「落ち着くプイよ、杏奈!」

 「落ち着いてるし……」

 「じゃあその足をばたばたさせるのをやめるプイ」

 「むむむぅ……だって高橋くん、マイちゃんが大根足だなんて、酷いこと言うんだもん!」

 「それは確かに酷いプイね」

 「でしょー。ねぇホイッピー、私にできることって、なにかある?」

 「そんなの決まってるプイ」

 「決まってる?」

 「魔法のお菓子を作るプイよ!」

 「それだー! でもどうしよう……ダイエット中の女の子にお菓子なんてダメだよね……って、ええぇ!?」


 なんて考えてたら、レシピ本が光ってる!?


 「レシピ本が最適なレシピを教えてくれるプイ!」

 「すっごーい!」


 本はそのままパラパラとめくれて、

 クッキーのページで止まった。


 「ほっこリラックスお豆腐クッキー?」


 お豆腐でクッキーかぁ……美味しいのかな?

 でも、魔法のお菓子だし美味しいに決まってるよね!

 お豆腐ならヘルシーだし、ダイエット中のマイちゃんでも食べられるはず!


 「よぅし、さっそくやるぞー!」

 「魔法のお菓子を作るなら、変身するプイよ」

 「おっとっと、そうだった!」


 たくさん見習い衣装に変身したからもうお手の物!

 ステッキを振り――変身完了!


 「そういえば、変身するとどうなるの?」

 「魔法のお菓子が作れるプイ」


 うんうん、そうだよね。


 「――って、そうじゃなくて! 他は、他!」

 「あとは……そのステッキは、杏奈が望む調理器具になるプイよ」

 「へー」


 試してみると、粉ふるいにへら、おたまにお鍋と変わり放題変え放題!


 「すごーい!」

 「あとは最後に呪文を唱えるのを忘れちゃダメプイ」

 「呪文!? それ、すっごく魔法使いっぽい!」

 「じゃあ、早く作るプイよ」

 「うん! それじゃ作っていこー!」


 マイちゃんの幸せそうな顔を思い浮かべながら、クッキーの生地をこねこね、こねこね。

 型に取って、おいしくなりますようにってお願いしながらオーブンで焼き上げて――


 ――チーン!


 「完璧ッ!」

 「よくできたプイね。あとは呪文を唱えて完成プイ!」

 「呪文は?」

 「頭の中に浮かんだ言葉を言えばいいプイよ」


 頭の中……頭の中? あ、あれあれあれ?

 なんだか知らないけど、知ってる言葉が――


 「よぅし! 大丈夫! ホイ~ップホイ~ップペペルナポ~イ! マイちゃんが笑顔になりますように!」


 ――ぴかりん☆


 「やったプイ! きらきらの魔法のお菓子になったプイ!」

 「やった! サイコー気分でできあがり! ほっこリラックスお豆腐クッキー!」


 魔法のお菓子……マイちゃんを笑顔にできるかな?

 ううん、絶対なーる!

EPISODE5 ホッコリラックス「魔法のチカラだけじゃない。お菓子はみんなを笑顔にしてくれるんだよ!」

 ――きーんこーんかーんこーん。


 お昼の時間。今日はこの瞬間を待っていたんだ!


 「ねぇねぇ、マイちゃん! お時間よろしいでしょーか!」

 「な、なに……杏奈、ちゃん?」

 「別に変なことするわけじゃないよー?」

 「どうかなー……」

 「ががーん! 信頼されてない!?」

 「なんて、冗談だよ。うふふ……」


 うーん……マイちゃん、やっぱり元気なさそう。


 「それはおいといて!」

 「おいとくの!?」

 「はい、これ!!」

 「この包み……ん? なんだか甘い匂い……」


 中から出てきたクッキーに、マイちゃんは釘付け!

 マイちゃんの体が甘いものを求めてるってこと!


 「実はクッキー焼いてきたんだ! 食べてみて!」

 「え、えぇ!? その、だから……今はちょっと」


 マイちゃん、そう言いつつも目が離せないみたい。

 ふっふっふー、計画通り!


 「だいじょーぶ! なんとこれは、お豆腐メインで作っているのです!」

 「お豆腐なのに、こんな甘い匂いがするんだ」

 「とりあえず1個だけ! 1個だけでいいからだまされたと思って食べてみて?」

 「う、うん……そこまで言うなら……」


 マイちゃんがクッキーを1つつまんで口に運ぶ。

 すると――


 「わぁ、おいしい……これ、ほんとにお豆腐? 信じられない……全然わからなかったよ!」


 よかったぁ、マイちゃんが笑顔になってくれた!


 「でしょでしょ。これだったら、ちょっと食べ過ぎちゃってもだいじょーぶ!」

 「あはは、そうかも」

 「なんだかほっこりって感じするでしょ?」

 「うん、なんだか落ち着いた感じ。気分ほっこりだね。はい、杏奈ちゃんも」


 ――あむ。あまくてしあわせ~。


 「えへへー、ほっこりほっこりー」


 マイちゃんも笑顔だし、クッキーはおいしいし、とってもサイコー気分だよ!


 「ああ! それって豆腐クッキー?」


 きょきょきょ、恭介君!?

 なんで、どうしてぇぇぇぇぇぇ!?


 「えっとぉ……しょのぉ……」

 「もぅ杏奈ちゃん、落ち着いて。よくわかったね、杉山くん。これが豆腐クッキーだって」

 「すぐわかったよ。昔お母さんが作ってくれてさ」

 「良かったら、一個食べる? いいよね、杏奈ちゃん?」

 「ふぇーっ!? どうどうどうじょどうぞ!」


 恭介くんが……私の作ったクッキーを……!?


 「はむ……わっ」


 え、なになになに!?

 私、なにかやっちゃいました~!?


 「懐かしい、味」


 恭介くん、すっごく優しい笑顔……。


 「ステキ……」

 「……?」

 「あ、あいえええええ、なんでもないない!」

 「自然な甘さで美味しいよ。ちょっと昔を思い出しちゃった。昔は恵太と……あ」

 「ん?」

 「これ、恵太にもあげていいかな?」

 「ど、どうぞどうぞ! いっぱいあるし!」


 ――って、思わず答えちゃったけど……。


 「あ、杏奈ちゃん……」


 そ、そうだったぁぁぁぁぁぁっ!?

 どうしようって考えてる間に、もう恵太くんがすぐそこに!


 「ほら、恵太。豆腐クッキー、懐かしいよね」

 「お、おぅ……」

 「ほーら、食べてみなって」


 まさかのまさかの展開に、マイちゃんも笑顔でフリーズしちゃってる!

 で、でもでも!

 これって2人の仲を元に戻すチャンス……?


 「マイちゃん」

 「う、うん……」


 マイちゃん、頑張れ!


 「その……高橋くんも1つ、どうかな?」


 高橋くんはマイちゃんの手のひらから、クッキーを掴んで――食べた。


 「おぉ!? すげぇうまい! なんか懐かしい感じ!」

 「はは、だよね。なんだかほっこりする」

 「あー、わかるわ……」

 「そ、そんなに褒められると照れちゃうよ、えへへ」


 一口でみんなをほっこりさせちゃうんだから、魔法のお菓子って素敵に無敵だよね!


 「その……なぁ、マイ」

 「……っ……」

 「ごめん!」

 「……ぇ……?」

 「マイがそんな風にする……って思わなくて。オレ、バカだからさ……マイは食べてる時のが、その、か、か、か……」

 「かわいいって、言いたいんでしょ」

 「ち、ちが……ちがわねぇけど……」

 「……えへへ」


 ひゃぁぁぁぁぁっ!

 マイちゃん、高橋くんとそういう関係に!?


 「なんだか、二人の世界って感じだね」

 「うん……って、恭介くん!?」

 「あれ? 美咲さんって、名前呼びだっけ?」


 あああ、つい名前で呼んじゃっったぁぁぁ!

 どうしようどうしようどうしよーう!


 「ご、ごめんなさーい!」


 どうか忘れてー!!


 「よしよし、一件落着プイね」


 うるさいうるさいうるさーい!

 そういう場合じゃ、ないんだってば~!

EPISODE6 ジカンリョコウ「思い出のケーキ、どうすれば作れるかな……そうだ! ぶっとびケーキで昔にいっちゃえ!」

 目がベリーよくなるアイスに、虫歯サヨナラチョコレート。

 魔法のお菓子を作るたびに、いろんな人が笑顔になっていく。

 誰かの笑顔って、とってもステキ!

 魔法のお菓子はそのお手伝いをしてくれるんだよね。

 お菓子が美味しくて、ダブルハッピー!

 笑顔になれたら、周りの人たちも笑顔になって、そしたら私も嬉しくなっちゃう。

 こうやって幸せって広がっていくんだよね!

 くろくろ真っ黒ガトーショコラとか、ちょっと失敗しちゃったこともあったけど……。

 でも、それもいい経験だよね!

 魔法使いに一歩一歩近づいてる感じ!

 よぅし、もっと上手にできるように練習するぞ~!

 と思って、キッチンに来たんだけど――


 「……あれ、おばあちゃん?」

 「あら杏奈。またお菓子を作るのかい?」

 「うん。もしかして、おばあちゃんも?」

 「ちょっと懐かしい写真を見つけてねぇ……ほら」

 「これって、おじいちゃん!? 美男美女でお似合いって感じだね!」

 「ほほほ、杏奈の方が美人さんになるよ」

 「えへへぇ……このお腹、もしかしてお母さん?」

 「そうだよ。ちょうどそんな時期だったかしら」

 「そうなんだー。あれ、このケーキ、なんだか不思議な形じゃない?」

 「それはね、思い出のショートケーキさ。とっても美味しかったんだけどねぇ……」

 「だけどねぇ?」

 「もらいものだったから、どこで食べれるのかもわからなくて……ちょうど、今の杏奈くらいの女の子だったねぇ」

 「なるほどぅ……だったら、私にも作れるかも! その思い出のケーキ……と同じのは無理かもだけど、とーっても美味しいケーキ!」

 「ほほほ、それは楽しみだねぇ」


 よぅし、おばあちゃんのために頑張るぞー!


 「……とは言ったものの、思い出のケーキってどんな味だったんだろう?」

 「やっぱり気になるプイ?」

 「そりゃもう! あのおばあちゃんが今でも覚えてるくらいなんてすごいもん!」

 「じゃあ、直接食べてみればいいプイ」

 「え? もしかして……魔法のレシピで、どうにかなっちゃったり?」

 「ちょうどいいレシピがあったはずプイ……探してみるプイよ」

 「えーと、じゃあじゃあ……レシピさんレシピさん、どうか教えてください!」


 あ、レシピが勝手にぱらぱらとめくれて――


 「時間ぶっ飛びケーキ!? これって、もしかして……!」

 「そう、タイムトラベルできちゃうお菓子プイ!」

 「た、タイムトラベル?」

 「つまり、過去で実物を食べれるかもってことプイ!」

 「すごーい! それってマンガみたい! あ、でも魔法のお菓子なんだから当然だよね!」

 「よーし、早速作るプイ!」

 「うん、やってみよう!」

 

 スポンジケーキは何度も作ったことあるし、おちゃのこさいさい!

 生地を混ぜて作って、型に流し込んでー、熱したオーブンにえいやっ!


 「そういえば、実物を食べてレシピはわかるものなのプイ?」


 ちょうどその時にケーキのスポンジが焼き上がった。

 ペタペタとクリームでお化粧して、いちごを乗せて……っと!


 「ホイ~ップホイ~ップペペルナポ~イ! 思い出のケーキが見つかりますように!」


 ――ぴかりん☆


 「やったプイ! きらきらの魔法のお菓子になったプイ!」

 「やった! サイコー気分でできあがり! 時間ぶっとびケーキ!」

 「早速食べるプイ!」

 「はーい。自分で最初に食べるなんて初めて! あむ!」


 美味しくて、笑顔になっちゃう!

 あれ、でも目の前がぐらぐらしてるような――


 「ふにゃぁ……」


 こっくりこっくり。

EPISODE7 ソボノオモイデ「この人……若い時のおばあちゃん!? じゃあ私、本当に過去に来ちゃったんだ!」

 「あ……な……あん、な! 杏奈! 起きるプイ!」

 「ふあぁぁぁ……今何時ぃ?」

 「何時でもないプイ! 周りを見るプイよ!」

 「ふぇ……」


 あれ……なんだか知ってるようで、知らない町並み……ここってまさか――


 「ふぇぇぇぇぇぇぇっ!!」


 もしかして、ほんとに過去に来ちゃったのー!?


 「ほらほら杏奈、ぼさっとしてる時間はないプイ。ケーキを食べた量からして――過去に居られるのは、ざっと日が暮れるまでプイ」

 「わかるんだ……」

 「わかるんだプイ」

 「根拠は?」

 「ないプイ」

 「ないんだ!?」


 そんなこんなで、近くの洋菓子屋さんに来てみたんだけど――


 「すみません、このお札って本物ですか?」

 「……はい?」


 なんだかいきなり大ピンチなんですけど!


 「柄も違うし……もしかしておもちゃ?」

 「柄って……うん?」


 店員さんの手元を覗き込んでみる。

 あっ、ほんとだ!

 お札の印刷されてる人が違う!?

 どっ、どうしよう!


 「どうされたんですか?」


 声をかけてきたのは……美人な女の人。お腹が大きい……もしかして妊婦さん?

 というかこの人どこかで見たような?


 「……もしかして、おばあちゃん?」

 「はい?」

 「あ、違いますひとりごとです!」

 「うん?」


 あ、危なかったぁ……

 って、若い頃のおばあちゃんだ!


 「もしかして、お財布間違えちゃったとか?」

 「あ……いや、その……」

 「あらあら。じゃあ、私と一緒にお茶でもどうかしら」

 「……え?」


 おばあちゃんと……お茶ぁ~!?


 「本当に、ありがとうございました!」

 「いいのよ、気にしないで。ここのお菓子はとっても美味しいって有名だもの。特に飴細工が綺麗なの。ちゃぁんと、覚えて帰ってね」

 「はい!」


 確かにこの飴細工、すっごいきれい。

 げーじゅつてき! ってやつだよね!


 「これ、あのケーキに乗ってたやつにそっくりプイ」

 「ぷい?」

 「なんでもないですなんでもないです! そそそ、そうだ! ここ、ケーキはないんですね」

 「そうなの。今日は結婚記念日だから、ケーキっぽいものを探しに来たんだけど……やっぱり難しいわね」


 ケーキ……ケーキかぁ……ううん、ケーキだ!


 「だったらそれ、私に作らせてくれませんか!」

 「あなたに?」

 「はい! お菓子のお礼、させてください!」


 待ってておばあちゃん、飴細工が乗った素敵なケーキ、絶対作ってみせるから!

EPISODE8 ヤクソクノケーキ「これが私の考えたケーキだよ! 未来でも、ちゃんと作るからね!」

 「本当にお願いしちゃっていいの?」

 「だいじょーぶです! 大船に乗ったつもりで待っててください!」

 「わかったわ。ここにあるものは自由に使ってね」

 「はい!」


 調理道具は……あ、今とほとんどおんなじところ。

 うちのキッチン、昔とあんまり変わってないんだ。

 そうと決まれば、早速作業開始!

 ケーキを作るのはお茶の子さいさいだもんね!


 「あら、手際がいいのね」

 「たくさん家で教えてもらいました!」


 お母さんと、おばあちゃんに!


 「よーし、これで本体は完成!」

 「本体プイ?」

 「記念日のケーキなら、とっておきにしないと! それもとびっきりのやつ!」

 「もしかして……さっきの飴細工プイ?」


 ホイッピーに頷いてみせる。

 もちろん、さっきのお店にあったやつみたいに上手くできないんだけど……それでも、やってみる!


 そして――


 「じゃーん、スペシャルケーキのできあがり!」


 普通のイチゴケーキの上に飴細工が乗っている。

 蝶にしようとして失敗しちゃったけど、カットした時にブローチみたいになって結果オーライ。


 「とっても綺麗ね……食べるのがもったいないくらい」

 「まだまだたくさんあるから。遠慮なくどうぞ!」

 「そうね……いただくわ」


 おばあちゃんはケーキをゆっくりと口に運ぶ。

 どうかなぁ、どうかなぁ……?


 「すごい……これ、私がずっと待っていた味だわ」


 やったぁ! 大成功だね!

 おばあちゃんに喜んでもらえてよかったぁ!


 「……杏奈! 足を見るプイ!」

 「え? ……って、えぇぇぇぇぇ!?」


 なんか透明になっちゃってるぅぅぅぅ!


 「このままおばあちゃんの前で消えたら大変プイ!」


 わかってるーわかってるけどどうしよー!


 「どうかしたの?」

 「あ、えーと……そうだ! トイレ! トイレは!」

 「トイレならそっちよ」

 「はーい!」


 すかさず玄関までダーッシュ!


 「ちょっと、そっちじゃ――」


 ごめんなさいごめんなさいごめんなさーい!

 そのまま玄関から出て誰もいないところを目指す。

 もう少しー! もう少しだけ待って~!?


 「杏奈、飛ぶプイ!」

 「え? いやその先、川なんですけどぉ!?」

 「大丈夫! 信じるプイ!」


 あ、あー! もう、どうにでもなれ~!


 「とぉりゃぁぁぁぁぁっ!!」


 次の瞬間、私の目の前は真っ白になって――


 「はれ?」


 気付いた時には、うちのキッチン。

 これ、過去じゃなくてちゃんと未来だよね?


 「あら、杏奈? ぼーっとしてどうしたの?」

 「ひゃい!?」

 「ケーキ、順調かしら」

 「あ、うん。それはバッチリ! もうちょっとだけ、待ってて!」

 「はーい」

 「あ、ごめんおばあちゃん! さっきの写真、借りていい?」

 「あら、参考にするの?」

 「うん」

 「どうぞ。それじゃあ、楽しみにしてるわねぇ」


 この写真、ちょっと確認したいことがあるんだよね。


 「やっぱり、変わってないね」

 「そうプイね。この写真、あのあと撮ったみたいプイ」


 私が慌ただしく出ていったそのすぐあとに、おじいちゃんが帰ってきたんだね。


 「でもそうなると……最初から私が作ったケーキだったってこと?」

 「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないプイ」

 「ぷっ……なにそれ」

 「世の中は不思議なことがあるプイねぇ……」

 「そうだねぇ……」


 しみじみ。

 ホイッピーも十分すぎるくらい不思議だけどね!


 「さぁ、作り方はもう馴染んでるし、早速ケーキ作りといきましょー!」

 「おープイ!」


 もう少しだけ、待っててねおばあちゃん!

 あの時とおんなじ笑顔にしてみせるから!

EPISODE9 トラブルバレンタイン「みんなあわあわバレンタインの季節! 私も満を持してオリジナルレシピに挑戦だ!」

 気付けば街はバレンタイン一色!

 女の子にはとっても重要で大切なバレンタイン!

 お菓子がたくさんの笑顔を作ってくれる日だよね!


 「今年もハッピーバレンタインになるといいなぁ……」

 「そういえば、杏奈は誰かに渡すプイ?」

 「えっとね……ええっと……そのぉ……ナイショ」

 「恭介くんプイ」

 「あがッ!?」


 バレバレだった!

 でも、今はそんなことより魔法のお菓子だよ!


 「今までいろいろレシピ通りに作ってきたけど、私……今回はオリジナルに挑戦しようと思うの!」

 「お、オリジナルプイか!?」

 「……なんでそんなに驚いてるの?」

 「杏奈には時期尚早プイ」

 「ひ、ひどい! ちゃんと名前も考えてあるんだから!」

 「ふーん、そうプイか」

 「ぐぬぬ……名前はね、みんなハッピーちょこめろカップケーキ!」

 「どんな効果があるプイ?」

 「もちろんみんなの告白が成功して、笑顔になっちゃうんだよー?」

 「杏奈の中ではそうプイね杏奈の中ではプイ」

 「なによぅ」

 「なにはともあれ、やってみるのはいいことプイ」

 「むむむ……なんか納得いかなーい!」


 そう言いつつも見習い衣装にお着替え開始! さぁ、魔法のお菓子作り、頑張らないと!

 生地を作って、オーブンで焼き上げて……あれれ? 上手く膨らまない?

 だいじょぶだいじょーぶ! もう1回もう1かーい!

 こんなことでめげる私じゃない!

 できるまで、トライ! ファイトだよ、私!


 「これで……よし、バッチリ!」

 「長い道のりだったプイ……あとは呪文プイね」

 「りょーかい! ホイ~ップホイ~ップペペルナポ~イ! 恭介くんが……みんなが笑顔になりますように!」


 ――ぴかりん☆


 「やったプイ! きらきらの魔法のお菓子になったプイ!」

 「やった! サイコー気分でできあがり! みんなハッピーちょこめろカップケーキ!」


 クラスのみんなにも……恭介くんにも渡しちゃおう!

 みんなサイコー気分で笑顔になっちゃうはずだよね!


 ――と、思っていたんだけど。


 『ミンナ、ハッピーニシテクルネ』


 え? カ、カップケーキが……!?


 「しゃべったぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 『バァイ』

 「とんでったぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」


 これは、前途多難の予感です……がっくり。

EPISODE10 マホウニキヲツケテ「うう、こんなことになるなんてぇ……魔法のお菓子って難しい……」

 せっかく作ったカップケーキが、全部どこかに飛んで行っちゃった……。


 「ど、どうしよう……」

 「立ち止まってる場合じゃないプイ」

 「ホイッピー……」

 「魔法が暴走したかもしれないプイよ。そうなると、何が起こるかわからないプイ」

 「そ、そんなぁ……ちゃんと作ったのに……」

 「オリジナルのレシピはそれだけ難しいということプイ。何か雑念があったプイね」

 「ぎくぅ! と、とにかくなんとかしないと!」

 「そんな時にはステッキを振るんだプイ」

 「うん――って、なにこれ!?」


 ステッキが急に地図になっちゃった!?


 「スイーツマップだプイ。これで、カップケーキを探すプイよ!」

 「わかった! でも見つけてもどうしたらいいの?」

 「呪文を唱えるプイ! オリジナルのレシピでできた魔法のお菓子は、それで効力を失うんだプイ!」

 「わかった。いこう、ホイッピー!」

 「やれやれ、困った見習いプイね……」

 「いくよぉ、ホイッピぃぃぃぃ」


 頭をぐりぐりしてあげると、ホイッピーはすぐにじたばたとギブアップした。

 まったくもぅ。


 そんなこんなで、街に飛び立った私たち。

 見習い衣装のまま外に出たら驚かれちゃう。

 でも、だいじょーぶ。

 私たちは今、かくれんぼカメレオンソーダで透明になっているのです!


 「ええっと……この辺だよね?」

 「間違いないプイ! マップの光が大きくなってるプイ!」


 それじゃあ、駅チカの公園に突入!

 ――したのは良かったんだけど……。


 「あれ……マイちゃんだよね」

 「隣にいるのは高橋くんプイね」


 ももももしかして……デートってやつ!?


 「あのね、高橋くん……渡したいものがあって」

 「お、おう……」


 なんだか、見ちゃいけないものを見てしまってるような気が……。


 『クエー!』

 「ふごっ!?」

 「た、高橋くーん!?」


 カップケーキくん、なんてことを……。


 「どうしてこんなことに……」

 「杏奈のせいプイ」

 「そうだけど……」


 マイちゃん、ごめんなさい。


 「オレ、ずっと自分の気持ちに気付いてなかった。マイ……きれいだよ」

 「うひゃぁ!?」


 なんか高橋くんじゃなくなってる!


 「止めなきゃ!」

 「呪文! 呪文プイ!」

 「そうだった! ホイ~ップホイ~ップペペルナポ~イ!」


 ステッキから光の輪っかが飛んで、高橋くんの体に巻き付いてる。

 これで、ほんとに元に戻るの?


 「はっ!? ご、ごめんマイ! オレ何をして……」

 「……ばか」


 いつもの高橋くんだ!


 「よくやったプイ! この調子でカップケーキをなんとかするプイ!」


 あんな風に人を変えちゃうなんて……魔法のお菓子もいいことばっかりじゃないんだね。

 私、浮かれすぎてたかも。


 「杏奈? どうしたプイ?」

 「ううん! マイちゃんが笑顔になってよかったよ! 次の場所へ行こう!」

 「がってんしょうちのすけプイ」


 ――


 「ホイ~ップホイ~ップペペルナポ~イ!」


 ――――


 「ホイ~ップホイ~ップペペルナポ~イ!」


 ――――――


 「ホイ~ップホイ~ップペペルナポ~イ!」


 そうして街中を周り終えた頃には、とっくに日が暮れていて――


 「うぅ~、つかれたぁ~」

 「自業自得とはいえ、よく頑張ったプイ」

 「うん、わたしがんばったー……って、あ」

 「どうしたプイ?」


 そう、すっかり忘れていたけれど、とっても大事なことがあったのです。


 「バレンタインのお菓子、なくなっちゃったよぅ!!」

EPISODE11 キミヘノオクリモノ「大切な人を笑顔にして、私も笑顔になって……えへへ、サイコー気分だよ♪」

 本日は、バレンタインデー。

 でも、私の心は真っ青ブルーなのでした。


 「うぅー……学校行きたくないなぁ」


 それはもちろん大事な大事なチョコレートがなくなってしまったからで――


 「あれ、美咲さん?」

 「う、うーん……なんだか恭介くんの幻聴が……」


 それくらいショック受けちゃったってことかぁ……。


 「あはは……幻聴なんて酷いなぁ」


 いやちょっとまって、聞こえる。

 聞こえてる声、リアル!? リアルだよね!?


 「きょ、きょ、きょ、恭介くん!?」

 「うん。おはよう、美咲さん」

 「お、おはにゅう……」


 噛んじゃった……。


 「あんな……あーんな……」

 「ん……今なにか聞こえたような……」


 ちょお!?

 こんな時になんなのホイッピー!?


 「美咲さん、鞄空いてるよ?」

 「ご、ごめん。ありがとう」


 バレないようにしっかり押し込んでおかなきゃ!


 ――あれ?


 覚えのない不思議な触り心地のものを取り出すと、なんとそれは――


 「もしかして、カップケーキ?」

 『ソウダヨ。ボクハキョウスケクンヨウダヨ』


 生き残り!?

 というか声は私にだけ聞こえてるみたい。

 そうだよね、普通カップケーキは喋らないもんね。


 「あの、えっと……これ。今日、バレンタインデーだから」


 恭介くんは驚いたみたいだけど、

 笑顔で受け取ってくれた。よかったぁ……。


 「ありがとう、美咲さん。これ、今食べてもいいかな?」

 「も、もちろんだよ! あっ、でもちょっと失敗しちゃったかもだから……」


 というかそもそも食べて大丈夫なやつなのこれ!?

 高橋くんは食べたら変になってたけど……。


 「あむ……わぁ、美味しい。やっぱり美咲さんって、お菓子作り上手だよね」


 はわぁ~……恭介君が私の作ったお菓子を食べて、おいしかったよって言ってくれるなんて……!

 とってもとっても、サイコー気分だよぉ!


 あれー? 気が抜けて、なんだか体がおも――


 「えぇ!? 美咲さん!? 大丈夫、美咲さーん!!」


 ――

 ――――

 ――――――


 「はにゃ~……いろいろ大変だったけど、サイコーの1日だったなぁ」


 朝は寝不足もあって失敗しちゃったけど……でもでも、嬉しいことがあった日の時間はあっという間でした!


 「まったく杏奈らしいプイね~」

 「えへへ」

 「褒めてないプイ」

 「ううん、そうじゃなくて。今日はありがと。ホイッピーのおかげだよ」

 「どういたしましてプイ。でもよかったプイね。恭介くんにおんぶしてもらえて」


 ――え?


 「ちょ、ちょっと待って!?それなんの話!?」

 「杏奈が道路に寝そうになったから、恭介くんが保健室までおぶってったプイ。魔法のお菓子の役得プイねー」


 ががーん!


 「わ、私……全然覚えてない……」

 「そりゃ寝てたから当然プイ」

 「そそそ、そんなぁーっ!?」


 なんてもったいないことをしちゃったのよ私ー!?

 変な子って思われちゃってたらどうしよう!


 「まったく、恋も魔法もまだまだ先は長いプイね」

 「うぅ~……もっと頑張って、恋も魔法も一人前になってみせるんだから~っ!」


 あ、それだけじゃなくって、

 もちろんみんなを笑顔にするからね!

 約束、だよ!

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■ 楽曲
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WORLD'S END
■ キャラクター
無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE
NEW / SUN
マップボーナス・限界突破
■ スキル
スキル比較
■ 称号・マップ
称号 / ネームプレート
マップ一覧
コメント (美咲 杏奈)
  • 総コメント数6
  • 最終投稿日時 2021/03/05 21:42
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