棚町 ケンゴ
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【キャラ一覧(無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL)】【スキル一覧】【マップ一覧】
※AMAZONから、スキルのGRADE UPによる数値の変化量が途中で変わるケースが出ています。
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棚町 ケンゴ | 綴 しおり |
---|
名前 | 棚町ケンゴ(たなまち けんご) |
---|---|
年齢 | 16歳 |
職業 | 書生 |
取柄 | まだ夢も趣味もないが、それを探し求めている |
名前 | 綴しおり(つづり しおり) |
---|---|
年齢 | 16歳 |
職業 | 女学生 |
取柄 | どんな本でも、隅から隅まで読もうと試みる |
- ORIGIN Fablesマップ14完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2019/4/11~5/8開催の「「START NEW LIFE-めぐりあい春-」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2019/7/4~8/7開催の「「納涼浴衣フェスティバル! れっつ・にゃもー!」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2019/12/5~2020/1/8開催の「「ホーリーナイトダンスパーティー」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2020/9/3~9/30開催の「「マイ・サマー・ラブ」ガチャ」<終了済>
- 専用スキル「恋のレファレンス」を装備することにより「綴 しおり」へと名前とグラフィックが変化する。
- 対応楽曲は「昵懇レファレンス」。
STORYは一人の落ちぶれ書生が図書館で女学生と出会い、本を薦めてもらう物語となっている。
昵懇レファレンスの歌詞はこの物語を題材にしたもので、劇中のセリフも歌詞へと登場している。
因みにタイトルの「昵懇」は「じっこん」と読む。
スキル
RANK | スキル |
---|---|
1 | チェインエクステンド |
5 | |
10 | 恋のレファレンス |
15 | |
25 | 限界突破の証 |
50 | 真・限界突破の証 |
- チェインエクステンド [MATCHING]
- 400チェインごとにボーナスが一定回数入る、マッチングプレイ用スキル。
400チェインなので一人あたりは(400/人数)コンボ繋げばいい。マッチングという最大の壁を超える分効果は割と大きい。MAXならゲージ8本まで可能。 - CRYSTAL開始時点において、筐体内に所有キャラはいない。
- 400チェインごとにボーナスが一定回数入る、マッチングプレイ用スキル。
プレイ環境 | 最大 | |
---|---|---|
開始時期 | ガチャ | |
CRYSTAL | 無し | × |
あり | +13 | |
AMAZON | 無し | × |
あり | +13 | |
STAR+以前 |
GRADE | 効果 |
---|---|
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | |
初期値 | 一定回数400チェインを達成するごとに ボーナス +7000(7回=49000) |
+1 | 〃 +7500(7回=52500) |
+2 | 〃 +8000(7回=56000) |
+3 | 〃 +8500(7回=59500) |
+4 | 〃 +9000(7回=63000) |
+5 | 〃 +9500(7回=66500) |
+6 | 〃 +10000(7回=70000) |
+7 | 〃 +10500(7回=73500) |
+8 | 〃 +11000(7回=77000) |
+9 | 〃 +11500(7回=80500) |
+10 | 〃 +12000(7回=84000) |
+11 | 〃 +12500(7回=87500) |
+12 | 〃 +13000(7回=91000) |
+13 | 〃 +13500(7回=94500) |
理論値:154500(8本+2500/28k)[+13] |
GRADE・ゲージ本数ごとの必要チェイン数(発動回数)
- 灰色の部分は到達不能。
- 9本以上はGRADEを問わず到達不能。
GRADE | 5本 | 6本 | 7本 | 8本 |
---|---|---|---|---|
初期値 | 1200 (3回) | 2400 (6回) | 4000 (10回) | 5600 (14回) |
+1 | 1200 (3回) | 2400 (6回) | 3600 (9回) | 5200 (13回) |
+2 | 1200 (3回) | 2400 (6回) | 3600 (9回) | 4800 (12回) |
+3 | 1200 (3回) | 2000 (5回) | 3200 (8回) | 4400 (11回) |
+4 | 1200 (3回) | 2000 (5回) | 3200 (8回) | 4400 (11回) |
+5 | 1200 (3回) | 2000 (5回) | 2800 (7回) | 4000 (10回) |
+6 | 800 (2回) | 2000 (5回) | 2800 (7回) | 4000 (10回) |
+7 | 800 (2回) | 1600 (4回) | 2800 (7回) | 3600 (9回) |
+8 | 800 (2回) | 1600 (4回) | 2400 (6回) | 3600 (9回) |
+9 | 800 (2回) | 1600 (4回) | 2400 (6回) | 3200 (8回) |
+10 | 800 (2回) | 1600 (4回) | 2400 (6回) | 3200 (8回) |
+11 | 800 (2回) | 1600 (4回) | 2400 (6回) | 3200 (8回) |
+12 | 800 (2回) | 1600 (4回) | 2400 (6回) | 3200 (8回) |
+13 | 800 (2回) | 1600 (4回) | 2000 (5回) | 2800 (7回) |
AIRバージョンから、有効回数が増加した。所有者も増加した。
初期値 | 一定回数400チェインを達成するごとにボーナス +7000(5回) |
---|---|
GRADE UP | チェインボーナス +500増加(最大+12500) |
- 恋のレファレンス [MATCHING] ※専用スキル
- チェインエクステンドに比べて条件が厳しいが、その分ボーナスが高い。安定してマッチング人数が集まるのであれば、こちらの方が有用だろうか。
- +1であればマッチングしなくてもゲージ5本まで可能。マップボーナス目的で1人でも使う可能性が無くもない。
GRADE | 効果 |
---|---|
初期値 | 600チェインを達成するごとに ボーナス +12000(5回=60000) ゲーム終了時にボーナス +12000 |
+1 | 〃 +12000(5回=60000) 〃 +24000 |
理論値:144000(7本+18000/26k) 1人プレイ理論値:84000(5本+4000/22k) |
- 8本以上はGRADEを問わず到達不能。
GRADE | 5本 | 6本 | 7本 |
---|---|---|---|
初期値 | 600 (1回) | 1800 (3回) | 3000 (5回) |
+1 | 0 (0回) | 1200 (2回) | 2400 (4回) |
AIRバージョンからノルマが緩和され、終了時ボーナスが追加された。また、GRADE UP内容が変更された。
初期値 | 800チェインを達成するごとにボーナス +12000(5回=60000) |
---|---|
GRADE UP | チェインボーナス +2000増加(最大+14000) |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
- | - | - | - | - |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
- | - | - | - | スキル |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
31 | 32 | 33 | 34 | 35 |
36 | 37 | 38 | 39 | 40 |
41 | 42 | 43 | 44 | 45 |
46 | 47 | 48 | 49 | 50 |
スキル |
STORY
EPISODE1 ケンゴとしおりの物語「お薦めの書物はなんですか?」「多分この本が読みやすいです……」
いくらか昔のこと。
男子強くあるべしという世の風潮に馴染めぬ彼は、己に自信を持てず、逃げるように図書館へと通う。
だがそこで彼は、彼女に出会った。
本を開けば独り夢中となり、そこに豊かな空想の世界を繰り広げることができる彼女。その、静かな熱。
やがて彼は彼女の読書記録を追うようになり、彼女の興味や関心を知ろうと懸命になる。
彼を動かす、内なる心の熱。
ふたりは少しずつ、互いの先行きを変えていく。
EPISODE2 ケンゴの場合・1「世間には新時代が到来していると聞くが、僕はただ取り残された思いで居た」男子強くあるべしという世の風潮に馴染めぬ彼は、己に自信を持てず、逃げるように図書館へと通う。
だがそこで彼は、彼女に出会った。
本を開けば独り夢中となり、そこに豊かな空想の世界を繰り広げることができる彼女。その、静かな熱。
やがて彼は彼女の読書記録を追うようになり、彼女の興味や関心を知ろうと懸命になる。
彼を動かす、内なる心の熱。
ふたりは少しずつ、互いの先行きを変えていく。
どうやら好景気が到来している。
落第書生の僕の小遣いも、心持ち増えた。
けれど相変わらず勉学への意欲はあがっていかない。
街の活気についていけず、僕は立ち尽くす。
世間には新時代が到来していると聞くが、僕はただ取り残された思いで居た。
申し訳ない気分でいっぱいだ。
親御たちも家主も、僕に勉学の機会を続けて与えてくれているというのに。
彼らの期待に添うような頭脳が、僕には欠けている。
いや、果たして期待などあるのだろうか。
いざ通学をはじめれば、自分で気づいてしまった。
僕は自身の将来がぼんやりとしたままなのだ。
居たたまれなくなって、図書館に逃げ込む。
机に向かいたくはなかったが、本を眺めるだけならば案外と嫌いではない。
そしてそこで、僕は彼女に出逢った。
EPISODE3 しおりの場合・1「独りで居ても別段、寂しくなどありません。頁の向こうには豊かな物語の景色が広がっています」落第書生の僕の小遣いも、心持ち増えた。
けれど相変わらず勉学への意欲はあがっていかない。
街の活気についていけず、僕は立ち尽くす。
世間には新時代が到来していると聞くが、僕はただ取り残された思いで居た。
申し訳ない気分でいっぱいだ。
親御たちも家主も、僕に勉学の機会を続けて与えてくれているというのに。
彼らの期待に添うような頭脳が、僕には欠けている。
いや、果たして期待などあるのだろうか。
いざ通学をはじめれば、自分で気づいてしまった。
僕は自身の将来がぼんやりとしたままなのだ。
居たたまれなくなって、図書館に逃げ込む。
机に向かいたくはなかったが、本を眺めるだけならば案外と嫌いではない。
そしてそこで、僕は彼女に出逢った。
どうやら、世間は活気づいているよう。
私も家の許しを得て、外出できる時間が増えました。
けれど私の向かう先は決まっています。
女のお前がそんなに物を読んでどうするのか、と父は首をかしげていましたが、私の興味向きはやはり、本の中にあるのです。
しんと静かな図書館。
独りで居ても別段、寂しくなどありません。
頁の向こうには豊かな物語の景色が広がっています。
賑やかな町並み。
澄み渡った空と広大な海。
時に荒れ狂う嵐に光るいなずま。
険しい山を越えて、湧きたつ冷たい水がせせらぎへと変わり、村々を横目にしながら大河に育つ。
行ったこともない異国。
夢のような光景に、ただただ、私は思いを馳せます。
EPISODE4 ケンゴの場合・2「静穏を保っている図書館の中で、彼女は何やら輝いてさえ見えた」私も家の許しを得て、外出できる時間が増えました。
けれど私の向かう先は決まっています。
女のお前がそんなに物を読んでどうするのか、と父は首をかしげていましたが、私の興味向きはやはり、本の中にあるのです。
しんと静かな図書館。
独りで居ても別段、寂しくなどありません。
頁の向こうには豊かな物語の景色が広がっています。
賑やかな町並み。
澄み渡った空と広大な海。
時に荒れ狂う嵐に光るいなずま。
険しい山を越えて、湧きたつ冷たい水がせせらぎへと変わり、村々を横目にしながら大河に育つ。
行ったこともない異国。
夢のような光景に、ただただ、私は思いを馳せます。
その彼女はあまりに、本読みに夢中になっていた。
のめり込むようにして。
頁をめくると彼女の表情がくるくると変わった。
楽しみ、憂い、悩み、考えながら。
不意にふと悲しげな表情を浮かべた。
彼女の様子に、こちらまで心配になる。
だが次の頁へ読み進めると、じんわりと安堵した笑みがこぼれてきた。
きっと書物は、良い結末を迎えたのだな。
彼女が本をそっと閉じると、僕も不思議と落ち着く。
静穏を保っている図書館の中で、彼女は何やら輝いてさえ見えた。
彼女はどんな物語を読んでいたのだろうか?
「何か、ご用ですか?」
彼女が急に目の前に居て、そして僕に言った。
EPISODE5 ケンゴの場合・3「お薦めの書物は何ですか」思わぬことを咄嗟に、僕は聞いていた。のめり込むようにして。
頁をめくると彼女の表情がくるくると変わった。
楽しみ、憂い、悩み、考えながら。
不意にふと悲しげな表情を浮かべた。
彼女の様子に、こちらまで心配になる。
だが次の頁へ読み進めると、じんわりと安堵した笑みがこぼれてきた。
きっと書物は、良い結末を迎えたのだな。
彼女が本をそっと閉じると、僕も不思議と落ち着く。
静穏を保っている図書館の中で、彼女は何やら輝いてさえ見えた。
彼女はどんな物語を読んでいたのだろうか?
「何か、ご用ですか?」
彼女が急に目の前に居て、そして僕に言った。
読書机は、いつしか僕の目と鼻の先にあった。
先頃まで彼女が読み耽っていたものも含み、四、五冊の分厚い洋風物語の訳本がそこに積み上がっている。
「あの」
「す、すいません。お邪魔しました」
僕はいつの間に机のところまで歩いてしまったのだ。
本を楽しんでいた彼女に、迷惑を掛けてしまった。
「いえ……あ、でも。こちらこそごめんなさい」
何故か彼女が頭を下げる。
どうも僕が、机の上の本のいずれかを読みたがっているのだと思い違っているようだった。
あいにくと、僕はそんな重厚な物語に縁がない。
いや、なかったのだけれど。
「お薦めの書物は何ですか」
彼女へと、思わぬことを咄嗟に、僕は聞いていた。
待ってくれ。いったい僕はどうする気なのだ。
我が事なのに、動悸が止む気配がない。
EPISODE6 しおりの場合・2「なるほど、書生さんならば如何なる難解な本でも、読んでみたいものかも知れません」先頃まで彼女が読み耽っていたものも含み、四、五冊の分厚い洋風物語の訳本がそこに積み上がっている。
「あの」
「す、すいません。お邪魔しました」
僕はいつの間に机のところまで歩いてしまったのだ。
本を楽しんでいた彼女に、迷惑を掛けてしまった。
「いえ……あ、でも。こちらこそごめんなさい」
何故か彼女が頭を下げる。
どうも僕が、机の上の本のいずれかを読みたがっているのだと思い違っているようだった。
あいにくと、僕はそんな重厚な物語に縁がない。
いや、なかったのだけれど。
「お薦めの書物は何ですか」
彼女へと、思わぬことを咄嗟に、僕は聞いていた。
待ってくれ。いったい僕はどうする気なのだ。
我が事なのに、動悸が止む気配がない。
「お薦めの書物は何ですか」
急に彼に訊かれたので、私も戸惑いました。
彼のそわそわした様子は、知っていたけれど……私はてっきりと、彼が私のせしめている訳本のどれかを読みたくて、待っているのだと思っていたのです。
意外な問いでした。
「どんなものをお読みになるのですか?」
訊ね返してみると、少し自信なく、彼は答えます。
「なんでも……」
なるほど、書生さんならば如何なる難解な本でも、読んでみたいものかもしれません。
「ああ、違うのです。僕はその、本を読み慣れず……何をどう読めばいいのか。だがとても読みたくて堪らず」
やや慌てた風に、彼は言い募りました。
おや、と私は思いました。
けれども熱意のようなものを感じ取ったのです。
そんなに本に興味がおありなら、私も教えたい。
EPISODE7 ケンゴの場合・4「将来は物書きになろうと思います」僕は何故、そんな嘘をついたのか。急に彼に訊かれたので、私も戸惑いました。
彼のそわそわした様子は、知っていたけれど……私はてっきりと、彼が私のせしめている訳本のどれかを読みたくて、待っているのだと思っていたのです。
意外な問いでした。
「どんなものをお読みになるのですか?」
訊ね返してみると、少し自信なく、彼は答えます。
「なんでも……」
なるほど、書生さんならば如何なる難解な本でも、読んでみたいものかもしれません。
「ああ、違うのです。僕はその、本を読み慣れず……何をどう読めばいいのか。だがとても読みたくて堪らず」
やや慌てた風に、彼は言い募りました。
おや、と私は思いました。
けれども熱意のようなものを感じ取ったのです。
そんなに本に興味がおありなら、私も教えたい。
本を手にしてみたい気持ちは、嘘ではなかった。
しかし僕には読解力がない。なにしろ落第書生だ。
にも関わらず、僕の口から続けて出た言葉はこうだ。
「今はまだ無名なれど、将来は物書きになろうと思います。向学のため、文学や詩集に親しみたいのです」
勿論それはその場のでまかせである。
彼女の困惑は見て取れた。無理もない。
突然知らない書生に話し掛けられて嫌だろう。
しかも学もなく、力もなさそうな、情けない僕に。
重ねて、嘘つきだ。けれども。
「多分これが一番、読みやすいです……」
そう彼女は言った。すっと立って、読書机のすぐうしろの書棚から小さな文庫本を僕へと差し出す。
僕はそれを、ぎこちなくも受け取った。
彼女は一度僕へと笑んで、それからまた机につき、本の物語の世界に帰った。
この文庫本だけでも必ず読破すると、僕は心に誓う。
EPISODE8 しおりの場合・3「彼がただ本を読み終えたのではなく、物語の旅を楽しんだのだ、と、私も気づいて……嬉しいです」しかし僕には読解力がない。なにしろ落第書生だ。
にも関わらず、僕の口から続けて出た言葉はこうだ。
「今はまだ無名なれど、将来は物書きになろうと思います。向学のため、文学や詩集に親しみたいのです」
勿論それはその場のでまかせである。
彼女の困惑は見て取れた。無理もない。
突然知らない書生に話し掛けられて嫌だろう。
しかも学もなく、力もなさそうな、情けない僕に。
重ねて、嘘つきだ。けれども。
「多分これが一番、読みやすいです……」
そう彼女は言った。すっと立って、読書机のすぐうしろの書棚から小さな文庫本を僕へと差し出す。
僕はそれを、ぎこちなくも受け取った。
彼女は一度僕へと笑んで、それからまた机につき、本の物語の世界に帰った。
この文庫本だけでも必ず読破すると、僕は心に誓う。
次の日、彼は文庫本を無事に読み終えていました。
本が苦手と言っていたわりには、すらすらと読後の感想を述べる彼に対して、私は不思議な安堵を感じます。
それでは、と別の本を薦めてみようと思ったのですが彼が次に希望したのは、私が先日読み終えたばかりの、かなり難しい内容の、分厚い長編物語でした。
しかし、頑張って読む、と彼は私に告げました。
それからの数日、彼は図書館に通ってきました。
毎日、彼は書を選び、机につき、食い入るように読み進め……けれど時々、苦悶を浮かべて、唸りながら頁をめくっていました。
読む事につっかえてしまうと、彼は困ったり、天を仰いだり……
ひと抱えもある大きな辞典をいくつも探し出してきて開きつつ、書物を読み解こうとしていました。
そのうちにだんだんと、苦悶が消え、心躍らせている表情が彼に増えていくのが、私にもわかりました。
物語を理解して、辞典から知識を得て、自分の表現や感受性が潤っていくのは、確かに達成感があります。
けれど彼の満足した読後の顔……ただ本を読み終えたのではなく、物語の旅を楽しんだのでしょう。
その様子がなんだか、私も嬉しいのです。
EPISODE9 ケンゴの場合・5「近いうちに必ず、彼女に真実を告げたい」本が苦手と言っていたわりには、すらすらと読後の感想を述べる彼に対して、私は不思議な安堵を感じます。
それでは、と別の本を薦めてみようと思ったのですが彼が次に希望したのは、私が先日読み終えたばかりの、かなり難しい内容の、分厚い長編物語でした。
しかし、頑張って読む、と彼は私に告げました。
それからの数日、彼は図書館に通ってきました。
毎日、彼は書を選び、机につき、食い入るように読み進め……けれど時々、苦悶を浮かべて、唸りながら頁をめくっていました。
読む事につっかえてしまうと、彼は困ったり、天を仰いだり……
ひと抱えもある大きな辞典をいくつも探し出してきて開きつつ、書物を読み解こうとしていました。
そのうちにだんだんと、苦悶が消え、心躍らせている表情が彼に増えていくのが、私にもわかりました。
物語を理解して、辞典から知識を得て、自分の表現や感受性が潤っていくのは、確かに達成感があります。
けれど彼の満足した読後の顔……ただ本を読み終えたのではなく、物語の旅を楽しんだのでしょう。
その様子がなんだか、私も嬉しいのです。
僕は彼女の読書歴を追うように、読み続けた。
当初は、習っていない字を読むことに難儀した。
また時折、文脈を見失って途方に暮れた。
だが、彼女の豊かな知識と想像力に迫りたかった。
物語の世界の旅を、僕もしてみたかったのだ。
図書館の蔵書の貸出欄にはいつしか、僕と彼女の名がやたらと続けて並ぶようになっていた。
久しぶりに彼女と会話ができた。最近の彼女は多忙となり、図書館へと訪れる時間が少なくなったと聞いた。
「せわしない世の中ですけど……それでも互いが読んでいる本を通じて、私たちは気持ちを共有できますから」
と彼女は僕のほうを見ないまま、ふと言った。
偶然吹いてきた微風が、彼女の持っている、本読みに対する静かなる熱を、僕へと伝えた。
違うのだ、許してくれ。
僕はそんな純粋な気持ちで、読んでいなかった。
彼女に書物を最初に進めて貰った時の僕の嘘。
それが胸の底でずっと、じくじくと痛んでいる。
近いうちに必ず、彼女に真実を告げたい。
EPISODE10 喪失「役人よ……教えてください。何故、彼女がこんな目に遭わなければならないのですか」当初は、習っていない字を読むことに難儀した。
また時折、文脈を見失って途方に暮れた。
だが、彼女の豊かな知識と想像力に迫りたかった。
物語の世界の旅を、僕もしてみたかったのだ。
図書館の蔵書の貸出欄にはいつしか、僕と彼女の名がやたらと続けて並ぶようになっていた。
久しぶりに彼女と会話ができた。最近の彼女は多忙となり、図書館へと訪れる時間が少なくなったと聞いた。
「せわしない世の中ですけど……それでも互いが読んでいる本を通じて、私たちは気持ちを共有できますから」
と彼女は僕のほうを見ないまま、ふと言った。
偶然吹いてきた微風が、彼女の持っている、本読みに対する静かなる熱を、僕へと伝えた。
違うのだ、許してくれ。
僕はそんな純粋な気持ちで、読んでいなかった。
彼女に書物を最初に進めて貰った時の僕の嘘。
それが胸の底でずっと、じくじくと痛んでいる。
近いうちに必ず、彼女に真実を告げたい。
世間は再び不況へと突入し、それだけでなく、常に不穏な空気が渦巻いていました。
それまで耳にしなかった「敵」という言葉。
それを町中で、私は頻繁に聞くようになります。
図書館の蔵書ーー特に洋風物語は、けしからぬ内容だの、贅沢が過ぎているだの言われて、運動家によってどこかに持ち去られてしまいました。
遺憾ではありますが、まだ読む物は残っています。
数の減った書棚から、ひとつの本を手に取りました。
彼が既にそれを読んだと、貸出欄で知りました。
私はそれを抱えて、彼の来るのを待ちます。
先に、感想を聞かせて欲しいから。
× × ×
騒ぎを知って僕が駆けつけた時には、そこはもう瓦礫の山でしかなかった。
何故彼女がこんな目に逢わなければならないのだ……
お国のためか、「敵」のためにか。
役人は何も答えない。
粉微塵になった書棚と、ばらばらに崩れた本たちが、建物の破片の下から覗いていた。
僕はただ、無言で本の欠片を拾い集める。
彼女へ真実を告げることは、もう永遠に叶わない。
EPISODE11 承前「そこに世界を描く者がいれば。物語の旅は続いていくのです……」それまで耳にしなかった「敵」という言葉。
それを町中で、私は頻繁に聞くようになります。
図書館の蔵書ーー特に洋風物語は、けしからぬ内容だの、贅沢が過ぎているだの言われて、運動家によってどこかに持ち去られてしまいました。
遺憾ではありますが、まだ読む物は残っています。
数の減った書棚から、ひとつの本を手に取りました。
彼が既にそれを読んだと、貸出欄で知りました。
私はそれを抱えて、彼の来るのを待ちます。
先に、感想を聞かせて欲しいから。
× × ×
騒ぎを知って僕が駆けつけた時には、そこはもう瓦礫の山でしかなかった。
何故彼女がこんな目に逢わなければならないのだ……
お国のためか、「敵」のためにか。
役人は何も答えない。
粉微塵になった書棚と、ばらばらに崩れた本たちが、建物の破片の下から覗いていた。
僕はただ、無言で本の欠片を拾い集める。
彼女へ真実を告げることは、もう永遠に叶わない。
時は過ぎた。時は戻らない。
けれど、それでも。
君が居たあの世界の続きを、僕は書こう。
あの日、君の見た想像の異国を。
僕のかつての嘘が、もう嘘でないように。
"ーー独りで居ても別段、寂しくなどありません。
頁の向こうには豊かな物語の景色が広がっています"
風が吹いて、僕は君の声を聞いたように思った。
それは君が持っていた、静かなる熱。
今も熱は、僕の中に生きている。
筆を走らせる。
以前の僕には、何もなかった。
だが君から、僕は大きな夢を得た。
ならば夢を描こう。
頁を繰れば、もう、誰も独りではないように。
けれど、それでも。
君が居たあの世界の続きを、僕は書こう。
あの日、君の見た想像の異国を。
僕のかつての嘘が、もう嘘でないように。
"ーー独りで居ても別段、寂しくなどありません。
頁の向こうには豊かな物語の景色が広がっています"
風が吹いて、僕は君の声を聞いたように思った。
それは君が持っていた、静かなる熱。
今も熱は、僕の中に生きている。
筆を走らせる。
以前の僕には、何もなかった。
だが君から、僕は大きな夢を得た。
ならば夢を描こう。
頁を繰れば、もう、誰も独りではないように。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
●リレイ | BASIC | 0 / 130 / 260 | |
テクニカルブースト(BASチェイン) | |||
自分と次のプレイヤーは、出すカードがBASで COMBOした時、CHAINとなる。 |
■ 楽曲 | |
┗ 全曲一覧(1 / 2) / 追加順 / Lv順 | |
┗ WORLD’S END | |
■ キャラクター | |
┗ 無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL | |
┗ マップボーナス・限界突破 | |
■ スキル | |
┗ スキル一覧 / 期間限定スキル | |
┗ スキル評価 / 期間限定スキル | |
■ 称号・マップ | |
┗ 称号 / ネームプレート | |
┗ マップ一覧 |
コメント(13)
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└
チュウニズムな名無し
No.103986461
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わかる…
この子たちの新グラ又はネームプレート欲しいから早く読書の秋が来てほしい0
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└
チュウニズムな名無し
No.103986461
通報
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恋のレファレンス 初期値
有効回数5回です1 -
チェインエクステンド+1のボーナスは+7500
回数不明0 -
恋のレファレンス初期値必要チェイン数が減り最後にボーナス入るようになりました。回数はまだ調べてません…1
-
ストーリー読んで切なくなった…。この曲のfullが欲しい…。5
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ストーリー読んで昵懇レファレンスガチ勢になった18
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めちゃくちゃ鬱いストーリーじゃないですかこれ
読んでて泣きそうになった8 -
これ時代設定昭和中期かなぁ?
個人的には昭和初期(特に戦時中辺り)か大正時代辺りじゃないかと思うんだが。返信数 (3)1
棚町ケンゴと綴しおりのストーリー、全て編集終わりました。
EP9の「最初に進めてもらった」(そこまで全て「薦める」)、EP10のタイトル「遭わなければ」と、本文「逢わなければ」は、チュウニズムネットからそのまま引用しました。
後々誤植として修正されるかもしませんが、それまではそのままにしておきます。
EP9の「最初に進めてもらった」(そこまで全て「薦める」)、EP10のタイトル「遭わなければ」と、本文「逢わなければ」は、チュウニズムネットからそのまま引用しました。
後々誤植として修正されるかもしませんが、それまではそのままにしておきます。
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