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CHUNITHM【チュウニズム】攻略wiki

ミリアム・ベミドバル

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【キャラ一覧(無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN)】
スキル一覧(~PARADISE LOST)】【マップ一覧

※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。

  • このページに記載されているすべてのスキルの効果は、CHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです(限界突破の証系を除き、NEW以降で入手・使用できません)。
  • 専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター(いわゆるトランスフォーム対応キャラ)は、RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

Illustrator:しろまち


名前ミリアム・ベミドバル
年齢素体年齢16歳
職業ベテランの衛士

イベントinclude:開催日(オリジナルNEW+)


衛士として暮らす少女。

小さな体に弱さを隠し、彼女は戦う。

スキル

RANKスキル
1勇気のしるし
5
10
15
25限界突破の証
50真・限界突破の証
100絆・限界突破の証

  • 勇気のしるし [HARD]
  • ゲージ8本以上に到達可能なスキル。1900ノーツ程度でゲージ8本を狙いに行く人向けだろうか。
    ゲージ6本は808ノーツ、7本は1270ノーツ、8本は1770ノーツ必要([+5]時点)。
    ちなみにスキル発動音をONにしてるとすごいうるさい。
  • AIRバージョンで仕様変更はされていない。所有者は増えた。無印時点ではゲージ8本に2300ノーツAJCが必要だったため、ゲージ6本や7本狙いで使われていた。
  • 筐体内の入手方法(2021/9/16時点):
  • PARADISE ep.VIマップ4(PARADISE時点で累計1020マス)クリア
プレイ環境と最大GRADEの関係
プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し+3
あり+5
PARADISE
(~2021/8/4)
無し+3
あり+9
CRYSTAL無し+3
あり+9
AMAZON無し+3
あり+9
STAR+以前
GRADE効果
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
共通JUSTICE判定以下150回で強制終了
初期値J-CRTICAL判定時ボーナス +47
+1〃 +48
+2〃 +49
+3〃 +50
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
+4〃 +51
+5〃 +52
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+6〃 +53
+7〃 +54
+8〃 +55
+9〃 +56
ゲージ10本必要条件:3000ノーツ[+3]
ゲージ10本必要条件:2885ノーツ[+5]
ゲージ10本必要条件:2679ノーツ[+9]

所有キャラ【 ピリオ / レグルス(1,5) / ミリアム

GRADE・ゲージ本数ごとの必要ノート数
GRADE5本6本7本8本9本10本
初期値4268941405195825543192
+14178751375191725003125
+24098581347187824493062
+34008401320184024003000
+43938241295180423532942
+53858081270177023082885
+63787931246173622652831
+73717781223170422232778
+83647641200167321822728
+93587501179164321432679

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ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
~50
スキル
~100
スキル

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STORY

EPISODE1 衛士の街「あたしは、自分の人生を不幸だなんて思ったことは一度もない。みんながいれば、それでいいのさ」

 ――世界中に降りそそぐ、怒りや哀しみ。

 何が正しいかなんてわからないけれど、それでも響きあえたことに、意味はあるんだ――


 復旧が滞りなく進んでいるイオニアコロニー付近。

 そのコロニーに最も近い場所に、エフェスコロニーはあった。

 ミリアム・べミドバルは、そのコロニーの中で衛士として暮らしている。


 彼女は生まれて間もない頃、機械種への反抗を企てている強硬派<イノベイター>とそれに異を唱える穏健派の武力衝突に巻き込まれ、戦災孤児となってしまった。

 そんな時、手を差し伸べてくれたのが、エフェスコロニーを統治する領主セトだったのだ。

 幼い見た目にデザインされたミリアムは、本来であれば蝶よ花よと愛でられ、管理された街の中で平和に暮らす道もあっただろう。

 だがミリアムは、強硬派との緊張状態を変えたい一心で衛士の道を志した。

 小さな体でどれだけ戦闘訓練を積んでも、戦闘に特化した真人に勝つことは難しい。

 しかし、彼女はそんな境遇に不平や不満は一切感じなかった。

 それは、常に自分のことを気にかけ厳しく育ててくれたセトと、共に競い合ってきた衛士の仲間たちがいたからこそである。

 そんな日々を、ミリアムは大切に思っていた。

 この日々がいつまでも続けばいい。

 そんな風に思っていた彼女に、変化が訪れたのは突然だった。


 ――イオニアコロニーで12の新人類種が再生されたのだ。


 彼女に下された指令はひとつ。

 緊張状態にあるイオニアコロニーにいる帰還種を安全な地まで送り届けることだった。

EPISODE2 夜明け前「最初はただ任務をこなすだけだった。でも、あたしはもうこいつらとの旅を、心の底から楽しんでるんだ」

 帰還種の護送から始まったこの日々は、あたしの世界を目まぐるしく変えてしまった。

 二つの街は焼かれてしまったし、ずっと一緒に訓練してきた仲間たちもお義父さまも、もういない。

 イノベイターの奴らはしつこいし、正直言って何度も挫けそうになった。

 それでもあたしがこの逃走劇を続けてこられたのは、ちょいと抜けてるけど可愛い妹分のレナに、同じ衛士として刺激し合えるヨナ、それと――


 「すぅ……すぅ……」


 交代しに来ておいて、いつの間にか横で眠っちまった、このギデオン<バカ>のせいさ。


 「ほんと、憎らしいくらい気持ち良さそうに寝ちゃってさ。なんなんだい」


 あたしは、ギデオンのほっぺをつねってやった。

 眉をハの字にして呻いて、起きようともしないよ。


 「こんなところを奴らに襲われたら、あんた、死んじゃうよ?」


 当然、返事はない。

 なんだろうね……あんたと居ると、あたしが選ばなかった道の先を歩んでいるような気にさせてくれるよ。

 だから、もう少しだけあたしに夢を見させておくれ。


 「レナを無事に送り届けたら、あんたと一緒に旅をしてみるのも良いかもしれないね。……ま、叶うはずもないか」


 さて、そろそろ夜明けだ。

 このバカを起こしてやらないとね。


 「ミリ……アム……」

 「もう……いつまで寝てんだい? いい加減起き――」

 「……護る……俺が……」


 心音が跳ねる。

 違う、これは寝言だ。


 「……バカ。そういうのは起きてる時に言うんだよ」


 別にあたしに言った訳じゃない。

 でも、もう少し。

 もう少しだけ、このままにしておこうかね。

EPISODE3 蒼き隠者「どうにも胡散臭い奴だね。こいつが変な動きを見せたら、あたしが……」

 夜が開けて、本格的に船の補修を行える場所を探すことになった。

 大陸中心部を横断するルートを取りやめて海岸線沿いのルートを進んでいた時、ギデオンたちが何かを見つけたらしい。


 「都市があっただって? ふぅむ……船に登録されてる地図には何も表示がないんだけどねぇ」


 その何かをスクリーンに映し出してみると、そこには確かに都市を形成していたと思われる複数の構造体が見えた。


 「地図にない街……廃棄された都市ってところかしら?」

 「なるほど、廃棄都市か。何が待ち受けてるか分かったもんじゃないけどねぇ。今はそうも言ってらんないさね」


 機械種が管理を放棄した都市。

 そこにどんな危険が待ち受けているかは分からない。

 でも、今は少しの可能性も見逃す訳にはいかなかった。


 「よし、物は試しさ。行ってみるよ!」

 「「了解!」」


 合図してからすぐにピーコッド号は廃棄都市に到着した。


 「ギデオン、ヨナ。あたしはここに残るよ。レナの面倒も見ておきたいからね」

 「…………む?」

 「どうしたんだよ、姉ちゃん?」


 ヨナは怪訝な表情を浮かべてあたしとギデオンを交互に見ている。


 「さっさと燃料を見つけに行こうぜ? ミリアム、レナのことは任せた」

 「もちろんさね。そっちこそ、何の成果も得られなかったら承知しないよ?」

 「へいへい、お前の期待には応えてやるからよ」

 「……ねぇ、二人共何かあった?」


 ヨナの指摘に、心臓の音がドクンと跳ねたような気がした。

 あたしは、ついギデオンの方を見てしまって――


 「ばっ! 別に何も起きてねぇよな、ミリアム?」

 「たく、それは何かあったって言ってるようなもんじゃないのさ……」


 この……バカバカバカバカバカ――ッ!


 「え? え? 詳しく教えてほしいんだけど?」

 「とにかく! 今は燃料を探してきて! ギデオンも変なこと言うんじゃないよ?」


 そう言いながら、二人を無理矢理ピーコッド号から追い出してやった。

 今はそれぞれができることをしなくちゃいけないんだからね。うん。

 二人が都市に行くのを見送って、あたしは今も昏睡状態のレナに視線を移した。


 「…………」

 「一体、あんたの身に何が起きてるっていうんだい」


 未だにレナが眠りについた原因を特定できていなかった。

 備え付けの医療キットでは、改善できそうにもない。


 「レナ、今は耐えてくれ。負けるんじゃないよ」


 レナの手をギュッと握りしめる。

 あんたは、こんなところで終わっちゃいけないのさ。

 あんたがいなくなったら、あいつらは前に進めなくなっちまうんだから。


 「早く帰ってきておくれよ……」


 ――ギデオンたちから連絡が入ったのは、すっかり陽が傾きかけてからのことだった。

 どうやら無事に燃料を手に入れられたらしい。

 でも、少し様子がおかしかった。

 あたしが感じたその疑問の答えは、直ぐに判明することになる。

 船に戻ってくる人影が、一人分増えていたからだ。


 「なんなんだい……こいつは……」


 そいつは、なんて言うかどう反応すりゃいいのか困るヤツだった。なんせ、機械種のくせにやけに服装が派手っていうか……とにかく青い。

 こんなのが廃棄された都市の中に隠れて生活を送ってるなんて、誰が予想できるってんだい。

 立ち振る舞いから何まであからさまに怪しいしさ。

 ……まぁ、ヨナたちの態度からして、あたしらに敵意も無ければ興味がある訳でもないようだけど。


 さて、ここにいつまでも長居してる暇はない。

 あたしが皆んなに出発することを伝えようとしたその時、突然ハッチが開く音がした。

 そこにいたのは、寝ていたはずのレナだった。


 「大丈夫なのかい!?」

 「うん、ごめんね……迷惑かけてばかりで……」

 「何言ってんだい。何もあんたのせいじゃないさね。むしろあの時レナが……って、あんた、凄い熱だよ?」

 「え、あ、あれ…………?」


 すると、レナはその場に倒れてしまった。


 「レナ!? こうしちゃいられない、直ぐにレナを寝かせてやらないと……!」

 「レナ、だと? お前は……まさか……アルテミスの……?」


 その時、さして興味も示さなかった機械種の男が、レナを見た途端に明らかな動揺の色を見せた。

 そして、次の瞬間。

 その態度は様変わりしていた。


 「良ければ、彼女を私に診させてはもらえないだろうか? 旧式ではあるが、都市の治療装置まで案内しよう」


 その顔にありありと浮かんだ表情。

 慇懃無礼な態度よりも、あたしにはそっちの方が何より不気味に感じられた。

 いくらなんでも、急に協力的になりすぎさね。

 せめて素性だけでも知っておく必要がある。


 「そう言われて、ホイホイ付いていく程あたしはお人好しじゃないんでね」


 青い男は「やれやれ」と両手を上げて、あたしたちを見ていた。


 「あんた、一体何者だい?」

 「私の名はブルースタイン。かつて電子の楽園の管理を担っていた神々の、末席に属していた者さ」


 ――楽園を管理していた神。

 あたしたちは、とんでもない奴に出会っちまったみたいだね……。

EPISODE4 電子の楽園と現実の世界「管理者? メタヴァース? あたしゃ、頭がこんがらがっちまいそうだよ」

 「私の見立てでは、何らかの原因で身体の免疫機能が過剰に反応している状態なのだろう。この装置でしばらく眠っていれば、改善できるはずだ」


 ブルースタインが案内してくれたのは、治療装置がずらりと並ぶ部屋だった。

 まだここが都市として機能していた時には、きっと多くの人が利用できるようになっていたんだろう。


 「レナを助けてくれたことには礼を言わせてもらうよ。でもさ、あたしにはどうも腑に落ちないね……どうして会ったばかりのあんたが、そこまでレナに拘るんだい?」

 「そうだぜ、レナのことを知ってんのか?」

 「そうだね……私のかつての友人の言葉に倣って、少しばかり、私がいた世界について話をしよう」

 「ええと……私がいた世界?」


 ブルースタインが大仰な素振りを交えながら語り始めたのは、にわかには信じがたい神話のような世界のことだった。


 「まず知っておくべきことは、この現実の世界が地球規模の広大なネットワーク世界によって管理されているということだ。その世界を、我々管理者は『メタヴァース』と呼んでいる」

 「ん? でも、レナはメタヴァースとは言ってなかったよな。確かエマーグとかなんとか」

 「ふむ、彼女が暮らしていた世界はそう名付けられたのか、実に興味深い。いずれにせよ、私もレナ君もそのネットワークを介してこの世界へとやって来たのだ」

 「ふぅん……で、そんな管理者様がこんなとこで何してんだい?」

 「うんうん、そうだよね」


 ブルースタインは興が乗ってきたのか、体を反らして更に語り始めた。


 「私は気付いてしまったのだよ。この現実の世界の方が、私の好奇心と探究心を駆り立てるということにねぇ!」

 「あー……つまり、どういうことだ?」

 「私は現実の世界へと再誕したッ! 現実は素晴らしいィィ! この体の不便さの、なんと心地良いことかッ!」


 ギデオンとヨナがすがるようにあたしを見ている。

 気持ちは分かるが、あたしにも分からん。

 ブルースタインはすっかり自分の世界に入ってしまったのか、その言葉は更に熱を帯び身振り手振りを加速させていく。


 「だが私は完全にイリーガルな存在ッ! だというのに! 私はこの世界で彼女に出会ってしまったのだ……! これぞ神の采配ッ! 運命の出会いッ!」

 「……レナのことをアルテミスって呼んでたよね? それと何か関係があるのかな?」


 ヨナの問いに、ブルースタインは体を静止させると思い返すような口ぶりで続けた。


 「アルテミス・レナ。彼女は私の実験に欠かせない存在だった。装置で眠っているレナ君は、その子によく似ていてね」


 実験。その言葉が妙に引っかかった。


 「あんた、まさかそのアルテミスって子を!」

 「待ちたまえ。私は彼女を殺してはいないし、レナ君にも危害を加えるつもりはないよ。私はね、レナ君を見た時に感じたのだ、偶然とは思えない神がかり的な縁をね」


 ずいぶん遠回りな話になったけど、こいつを信じるのは危険だとあたしの勘が告げている。

 やっぱり今ここでこいつを――


 「……ん……ここ、は……?」


 そのひと声で、浮かびかけた考えは霧散した。

 レナの回復は思っていたよりも早く、幸運にもすぐ目を覚ますことができた。

 今はレナが回復したことを喜ぶとしよう。

 決断を下すのは、その後だ。

EPISODE5 同行者「大分遠回りになっちゃったけど、ようやく出発だね。って、はあ? あんたまさか着いてくる気かい!?」

 あたしは、今の状況に理解が追いついていないレナに、これまでのことを話して聞かせた。

 ブルースタインという管理者の存在は、レナにとっても寝耳に水だったらしい。

 でも、かつてブルースタインが管理者としてメタヴァースに存在していたということは、レナの反応を見る限り事実のようだった。


 「貴方がわたしを助けてくれたんですね」

 「ああ。ふむ、見たところ後遺症もないようだ」

 「ありがとうございます」

 「レナ、身体に変なことはされてないかい?」

 「うん、大丈夫だよ。あれ? わたし、どこかで貴方に会ったこと……」

 「気のせいさ。もしかしたら、君の中の遠い祖先の記憶がそう錯覚させたのかもしれないね」


 ブルースタインは映し出されたレナの身体情報を一つ一つチェックしてゆく。


 「さて、レナも回復したことだし、そろそろここを出ようぜ。奴らが来ないとも限らないしよ」

 「ふむ、君たちは追われている身なのか」

 「ああ。イノベイターの奴ら、レナのことを殺そうと何度も何度も襲ってきやがるんだ。ここに寄ることになったのも、元はといえば奴らが原因だしな」

 「良ければ、詳しく聞かせてもらえないかな? 力になれるかもしれない」

 「本当ですか?」


 ブルースタインの提案に表情を明るくさせたレナは、自身の置かれた状況について話して聞かせた。

 こいつは強硬派に対してはさして興味を示さないくせに、レナにまつわる事柄には分かりやすい程に反応を示す。

 それはある意味、御し易くもあった。


 「ふむ……それでペルセスコロニーを目指す訳か。ならば、私も同行させてもらおう、戦力が多いに越したことはないだろう?」

 「ブルースタインさん、良いんですか?」


 ブルースタインの申し出に、レナは眼をまん丸にして嬉しそうにしている。


 「ペルセスコロニーはここから向かうにしてもかなりの時間を要する。それまでに戦闘が起こらないとも限らない訳だが、そこで私という存在は切札になる」

 「切札だぁ? その年代物の銃で戦うってのかい?」

 「ふむ、あまり信用されていないようだ」

 「いや、当然でしょ」


 ヨナの突っ込みにも動じず、ブルースタインは自信満々に言い切った。


 「まぁ、ここで披露してもいいのだが、楽しみは後に取っておく方が面白いだろう?」


 いくら機械の体を持っていても、この調子じゃあっという間に蜂の巣にされそうだけどねぇ。

 そんなしょうもないことに現を抜かしていると、ブルースタインはおもむろに窓の方に歩いていく。

 そして、外を眺めながらつぶやいた。


 「ちょうど、新たな客人も来たようだしね」

 「何だって!?」


 その直後、部屋全体を震わせる程の警報音が鳴り響いた。

EPISODE6 接敵「もうあたしらに追いつくなんて……。ギデオン、調子に乗ってヘマするんじゃないよ」

 「念の為、防衛装置を起動させていたが正解だったようだ」


 すると、ブルースタインは自分の掌から照射した光を、瓦礫の壁に投影させていく。

 ノイズ混じりの映像に映し出されたのは、武装した複数の集団に大柄の男、そして、幾度もあたしらと戦闘を重ねてきた青い眼の女だった。


 「イノベイター!? いくらなんでも、追撃が早すぎるって!」

 「時間がない! 今はあいつらをどう対処するか考えるよ!」


 ブルースタインの解析を信じるならば、敵は10名程度の部隊。乗り付けた船も一隻しかないことから、相当焦ってあたしらを追いかけて来たんだろう。


 「早速私の出番だな」

 「みんなでイノベイターを撃退しよう!」

 「いや、レナはミリアムと一緒にピーコッド号に向かってくれ」

 「えっ? だ、ダメだよ、わたしも戦うよ!」

 「病み上がりのお前を戦場には連れていけない。また戦闘中に気を失う可能性だってあるしな」

 「そ、それは……」

 「大丈夫だよ、レナ。あっちは私たちが気付いていないと思ってる。それを逆手に取れば十分に迎撃できる」

 「てな訳だ。レナ、あんたの気持ちは分かるけどね、二人がああ言ってるんだから信じておやり?」


 レナはなおも言いたげな顔をしていたけど、うん、と自分を納得させるように頷いた。


 「ヨナ、ギデオン、気をつけてね? 絶対、無事に帰ってきて、約束だよ?」

 「ああ約束だ。また後でな」

 「うん……」

 「しくじるんじゃないよ、二人共!」

 「任せて!」「ああ!」

 「特にギデオン。あんたは直ぐ調子に乗るからねぇ。勝手に死んだら許さないよ?」


 あたしはギデオンに近づくと、力一杯に胸を小突く。でも、それはぶつかる直前で生意気にも阻止されていた。


 「死ぬつもりは更々ねぇ。俺は、お前と――」

 「え?」

 「時間が惜しい、奴らを迎撃するぞ」


 その言葉を最後まで聞けないまま、三人はイノベイターが迫りつつある都市の入り口へと向かって行った。


 「さぁ行くよ、レナ。レナ?」

 「あっ、うん……」


 レナの手を引いて、ピーコッド号を目指す。

 チラッと見えたレナの横顔は、得体の知れない不安を感じ取ったかのように怯えていた。

EPISODE7 廃棄都市防衛戦「不安になるのも分かる。でもね、レナ。ここであたしらが信じないでどうするんだい」

 戦端を切ったのは、ブルースタインが操る都市防衛機構による奇襲だった。

 都市の端末にダイレクトリンクした彼は、まるで楽団を指揮するかのように、都市そのものを震わせる。

 地中に埋もれ、張り巡らされていた、柔軟性と剛性を併せ持ったフレキシブルカーボンチューブ。

 それが突如、イノベイターの追撃部隊の直上に降り注いだのだ。


 「クソッ! なんだってんだ、こいつは!?」


 隊列を崩すことを余儀なくされた兵たちは、大柄な男の号令の下、散開していく。

 そこへ、鞭のようにしなった大質量のチューブが大地に叩きつけられた。

 直後、巻き起こる砂塵。

 視界を奪われた彼らは身動きを取ることもできず、皆チューブに向かって銃撃を開始する。

 しかし、生き物のように蠢くチューブの前には大した損傷を与えることはできないでいた。


 「ぐ……このままでは……!」

 「お前ら、伏せろッ!!」


 怒号と共に、閃光が吼えた。

 サウルの光学兵器が、砂塵諸共チューブを切り裂いていく。

 だが、しかし。

 地中より新たに現れたチューブが、再び彼らの行手を塞いだのだ。

 このまま時間だけが過ぎれば、帰還種たちは逃げ、自陣への被害だけが募っていく。この埒外の攻勢を突破するには圧倒的な火力、ないしは機動力が必要であった。

 撤退か抗戦か。サウルが判断を迫られたその時、一陣の風と共に猛然と駆けていく影があった。


 「な……まさかッ!?」


 チューブの嵐の中を、女が駆ける。

 走り、潜り、飛び移る。

 駆けて、避けて、すり抜ける。

 直撃すればひとたまりもない。

 だが、一度たりとも止まりはしなかった。

 そして、数多ものチューブの群れを乗り越え――


 「フ、フフ、アハハハハッ!!!」


 弾丸の如く跳んだ女が、ブルースタインの上空を通り越して防衛網の先へと降り立った。


 「なん、だと……?」


 立ち込める砂煙の中、ゆらりと立ち上がる影。

 そのシルエットを見るまでもなく、ヨナとギデオンは武器を構えた。


 「人間たちよ、そちらは任せたぞ」


 ヨナとギデオンは無言でうなずいた。

 この距離では、ブルースタインの攻撃は二人を巻き込んでしまう。敵を退けるには、二人が自力で排除する他ないのだ。


 「勝つよ、ギデオン」

 「ああ、あいつにだけは負けられねぇ」


 晴れていく視界の中、三者の視線が交錯する。


 「フ、フフ、見ィ~つけたぁ」


 その声色は、祝うように。呪うように。

 喜びを隠しきれず、歪な笑みを浮かべた青い瞳の女――イゼヴェル・ヤグルーシュは、声高らかに義手を打ち鳴らした。


 「さぁ、楽しませてちょうだい?」

EPISODE8 狂乱の女戦士「レナは何を感じ取って怯えているんだ。これじゃあたしまで不安になっちまうじゃないのさ」

 「しゃらくせえッ!」


 ブリガンダインとヴァンブレイズを手に、ギデオンが高速で接近していく。そこに至るまでの道を作り出すのが、ヨナの役割だった。

 衛士になる前から、二人が築き上げてきた連携攻撃。

 イゼヴェルの隙を縫うように、ヨナは牽制を繰り返し、防戦に回らせたところで即座にギデオンが距離を詰めていく。


 「く……煩わしいッ!」


 対するイゼヴェルは、攻撃を交わしつつも弧を描くような軌道で、ヨナの射線上にギデオンを誘い込もうと立ち回るが――

 刹那、感じた殺気。

 牽制に見せかけたヨナの銃弾が、イゼヴェルの頬を掠っていた。


 「今のを……避けるの!?」

 「私を誰だと思っているッ!」


 イゼヴェルはヨナを見ずに、自動小銃だけを向けて掃射する。

 ぎりぎりで伏せたヨナの頭上を、銃弾が通過した。


 「ヨナッ! ……ったく、イカれた女だぜ!」

 「汚い口ねぇ! 私が礼儀を教えてあげるわよぉ?」

 「余計なお世話だッ!」


 トップスピードに乗ったギデオンが、一息にイゼヴェルへ接近した。

 至近距離で間断なく繰り出される銃弾の雨を、イゼヴェルは義手と小銃を使って弾き、回避していく。

 ギデオンもまた、攻撃の合間に差し挟まれる自動小銃の銃口へヴァンブレイズをぶつけて払う。

 互いに銃口をぶつけ合い、射線をわずかにずらすことで直撃を防ぐ。

 金属の甲高い音と銃口から散る閃光は、さながら剣戟の応酬だった。

 高速で交わされるそのやり取りは、一見すると均衡を保っているように見える。しかし、その差は徐々に現れ始めていた。


 (まだ……速度が上がるというの!?)


 イゼヴェルの中に生まれた焦り。微かな体の乱れ。

 それをギデオンは見逃さなかった。

 前傾状態で突き出した自動小銃が空を切る。


 「しまっ――」


 ギデオンが身を屈めるのを待っていたと言わんばかりに、銃声が鳴り響く。ヨナの銃弾がイゼヴェルの右肘から先を吹き飛ばしたのだ。


 「痛ッ――ぁああァァァッ!!」


 ギデオンは、大きく仰け反り痛みに喘ぐイゼヴェルを睨みつけ、言葉を吐き捨てる。


 「痛ぇだろ? いい様だなぁ、クソ女」

 「……ぁ、ぐ……」


 痛みを堪え、歯を食いしばるイゼヴェル。

 武器を奪われ、戦う力を失ってもなお、振り乱した髪の隙間から見える青い瞳に、諦めの色はなかった。


 「今楽にしてやるぜッ! 死ねェッ!」


 ギデオンが引き金を引くのと同時。

 イゼヴェルは義手を盾代わりに駆け出していた。

 それは、ヨナが反応できない程の速さで、ギデオンへの接近を許してしまう。

 そして――

 ボロボロになった義手でギデオンを抱擁すると、耳元で囁いた。


 「フ、フ……つか……まえタ……ぁ」

 「何がおかしい。そんな状態で、何ができんだよ」

 「武器、なら……あるワぁ……」


 イゼヴェルは、おもむろに口を大きく開くと――ギデオンの首元に喰らいついた。


 「ぐ……ぁアァァァァァッ!!」


 首元に深く牙を突き立てられたギデオンは、痛みから逃れようと身をよじる。しかし、背中に回されたイゼヴェルの義手が、それを許さない。


 「――ギデオンッ!!」


 ヨナが駆けつける合間にも、ギデオンは鮮血を垂れ流していく。肉を喰われ、血を啜る音が耳朶を愛撫する。

 身体は小刻みに震え、手から力が抜けていく。

 二丁の拳銃が地面に落ちたのを見届けて、イゼヴェルはギデオンを投げ捨てた。

 全身を赤く染め上げ、喜悦に顔を歪ませる女と、無残に変わり果てたギデオンの姿。


 「ふ、フフ……次はァ……貴女の番……ッ!」


 その光景は、ヨナから戦闘意欲を奪うには十分であった。


 「っ……、あ、あぁぁぁぁ!!!!」


 次なる獲物に標的を変え、イゼヴェルが駆け出す。

 最早、まともに狙いもつけられないまま、ヨナはただ、ライフルを乱射した。

 しかし、そんな状態で彼女に届く弾などなく、あっさりと接近を許してしまった。


 「――ひっ!?」


 至近距離で放った弾も直撃には至らず。そのままライフルを掴まれたヨナは、強引に引っ張られる形で転倒する。

 起き上がろうとしたヨナの背を踏みつけ、血塗れの女は嗤った。


 「フ、フフ……うずク……傷が、疼くわァ……この疼き、アナタの身体デ癒させてくれるかしらぁッ!?」


 振り上げられた義手。

 ヨナには、それが自身を貫くのを待つ以外になかった。


 「ごめん……ギデオン……」

EPISODE9 クソったれな世界「言いたいことがあったんだろ? なら、あたしにちゃんと言っておくれよ……」

 「ごめん……ギデオン……」


 ヨナは襲いかかる痛みから逃れるように目を瞑る。

 しかし、いつまで待ってもその時は訪れなかった。

 それどころか、背中に感じていた圧も、いつの間にか消え失せている。


 「……え?」


 その瞬間。ヨナの隣へ崩れ落ちるようにして、イゼヴェルが倒れ伏した。

 見れば、その身体は撃ち抜かれ地面には赤い液体が広がってゆく。


 「笑ったまま、死んでる……」

 「――やらせ、ねぇよ……姉、ちゃん、だけはなァ」


 風に乗ってわずかに聞こえた声。

 振り向いた先で、ブリガンダインを構えたギデオンが力なく立っていた。


 「ギデオンッ!!」


 慌てて駆け寄るヨナの前で、ギデオンは糸の切れた人形のように崩れ落ちていく。


 「いや……いや! 嫌ぁぁぁ!」


 止めどなく溢れ出てくる不安と恐怖が、ヨナの脳裏に絶望の二文字を刻む。

 砂地に横たわったギデオンは、ただ、無為に生暖かい体液を広げていく。

 この量は、既に真人の回復力を持ってしても、手の施しようがない。

 ヨナにもそれは理解できていた。しかし、すんなりと受け入れることなどできる訳がない。

 しかし、その間にもギデオンの身体から命という力は喪われていく。

 避けようのない“死”が、迫っていた。

 狼狽るヨナに、ギデオンは焦点の合わなくなった眼で語りかける。


 「……姉ちゃん、頼みがあ、るんだ……」

 「聞きたく、ない……っ……一緒に、行こうよ……」

 「こいつら、を……連れて、ってくれない、か……」


 震える手でヨナに渡されたのは、ギデオンの愛銃

「ヴァンブレイズ」と「ブリガンダイン」。


 「姉ちゃ、は、大切な、家族だから、さ。絶対……生き残って……欲しい」

 「……っ……、う、ぅぅ……」

 「レナの、ことも頼んだ、ぜ? この、世界、には……あいつが、必要だから」

 「じゃあ……ミリアムはどうするのよ! ミリアムを置いてくつもり!?」


 ギデオンの頬を、温かな滴が濡らす。


 「あいつが……ここにいなくて、良かった、よ」


 自嘲気味につぶやくギデオンとヨナの下に、空気を震わせるスラスター音が近づく。

 ピーコッド号が、すぐそこまで来ているのだ。


 「姉ちゃん、最期、に頼みがある。ミリアムに、伝えてくれ、ねぇかな……」


 耳元で囁かれた言葉。

 それを噛み締めるように、ヨナは何度も、何度もうなずいた。


 「……ありがとな。あぁ、畜生、雨でも、降ってんの、か?」


 沈みゆく陽が、空へもがくように伸ばした手を静かに照らす。


 「せめて……この目で、見たかった、ぜ。この、クソったれな世界が、変わる瞬間、を――」


 ふと、ヨナの手に加わった重み。

 それが、淡々と事実を物語っていた。


 ――いつも、前のめりで。

 すぐ、調子にのって。

 ときどき、喧嘩することだってあった。

 でも、笑顔のたえない家族だった。

 そんなふたりが笑いあうことは、もうない。


 「ぁ――――」


 少女の慟哭が、朱に染まりゆく空に木霊した。


 ――

 ――――


 「――ヨナの回収が終わった。ミリアム、出発するんだ」


 砂地にうずくまるヨナを回収したブルースタインは開口一番にそう言った。


 「まだギデオンが来てないじゃないか。あのバカは何をしてんだい」

 「彼は、役目を終えた」

 「は? 何を言って――」


 振り向き様、ミリアムの視界が捉えたのは、血塗れでその場に泣き崩れるヨナの姿だった。

 船内に走る緊張。その重さに、誰も声を上げることができない。

 状況を進めるには、自分が適任だろう。そう断じて、ブルースタインはあえて機械的に命令した。


 「ミリアム、次のコロニーへ向かえ」

 「いや、そうじゃなく――」

 「行ってッ!! ミリアムッ!!」


 胸に抱えた見覚えのある二丁拳銃が、すべてを物語っていた。

 ――ギデオンは、もう戻ってこないと。


 「……あぅ……、ぁ……ぁぁっ……」


 それにいち早く気付いたレナは、顔をくしゃくしゃに歪ませて、子供のようにむせび泣いた。


 「ぁ……の、バカ野郎……。レナとの約束をすっぽかして……何やってんのさ……!」


 頭では理解できていた。

 しかし、ミリアムの心が、感情が、覆りようのない事実を必死に拒もうとする。

 だが、敵は待ってはくれない。

 深い悲しみに暮れる船内が突如、大きく揺れた。

 ブルースタインの攻勢から生き残ったイノベイターの兵が、攻撃を仕掛けてきたのだ。


 「ミリアムッ!」

 「畜生ッ! 畜生畜生畜生畜生ォォォォォッ!!」


 ピーコッド号のスラスターに火が灯り、急加速でアントゥルーヤの空を離れていく。

 それは、ミリアムの悲痛な叫びに同調するように、勢いを増していくようであった。

EPISODE10 貴方と見た景色「この果てのない旅路はいつも不安だらけ。でも、貴方がいるから、わたくしは前に進めるの」

 わたくしは、ひとり、旅をしていた。

 いつ終わるともしれない旅路。

 先を見通すことのできない世界。

 小さなこの身には、世界はあまりにも広すぎた。

 不安でいっぱいになる朝もあった。

 もう立ち上がれないと、嘆く夜もあった。

 でも、いつの頃からか。

 哀しみに暮れる日々は、終わりを告げた。


 わたくしたちは、旅をしていた。

 いつ終わるともしれない旅路。

 先を見通すことのできない世界。

 小さなこの身には、世界はあまりにも広すぎた。

 でも、不思議と心は穏やかで。

 羽が生えたように足取りは軽やかで。

 とても、居心地が良かった。

 なぜなら。

 わたくしの隣には、彼がいたから。


 「どうしたんだ、ミリアム?」

 「ふふ、なんでもないわ、ギデオン」


 貴方とは、いろんな景色を見て回ったわね。

 遠くにそびえる塔。

 森の奥にあった遺跡。

 果ての見えない砂漠。

 いくつもの困難を乗り越えて。

 わたくしたちの絆は、より深くなった。

 そして、星空が一面に広がったあの夜に。

 貴方は、わたくしのかけがえのない存在になった。


 「ねえギデオン。次は何処へ行こうかしら?」


 貴方がいれば、わたくしは何処にだって行ける。

 貴方がいるから、わたくしはわたくしでいられるの。


 「そうだわ。ねえ、ギデオン。これから海を見に行きましょう?」


 夕暮れに佇む海辺を、貴方と一緒に歩いてみたかったの。ここからは少し遠いけれど、大丈夫。時間はたくさんあるもの。


 「…………」

 「どうかしたの、ギデオン?」


 ギデオンは何も答えてくれなかった。

 それどころか、わたくしに向けるその表情は。


 「悪い、俺はもう行けないんだ」


 わたくしには、何を言っているのか一瞬わからなかった。

 花を愛でるように。慈しむように。

 わたくしを見つめるその瞳は、穏やかなさざ波のように暖かかった。


 「何を……言っているの?」

 「行けないんだ、俺はもうどこにも」


 わたくしをあやすように、頬を撫でた手。

 その手の冷たさが、“わたくし”と“ギデオン”とを隔てる境界線だった。

 ――ああ。

 そうだったのね。


 「貴方は、もうわたくしの隣を歩いてはくれないのね」


 ここは、わたくしにとっての遠く儚い理想郷。

 わたくしが心のどこかで望んでいた、もしもの世界。

 一瞬でいて、永遠にも感じられた夢のような時間――


 けれど、もう終わりみたい。

 だからね。

 ずっと、言えなかったことがあるの。

 これを言ってしまったら、この世界はきっと泡のように消えてしまう。

 でも、わたくしは伝えないといけない。

 これが貴方との、最後の逢瀬だから。


 「ねぇ、ギデオン」


 わたくしは精一杯の笑顔を作る。

 ちゃんと、笑えてるかしら。

 ギデオンは、穏やかに笑ってくれた。


 ああ、嬉しい。

 貴方と巡り会えて、わたくしは幸せ。

 貴方がいるから、今のわたくしがある。

 そのすべてに、想いを込めて――


 「ありがとう」

EPISODE11 いつか、君と「あんたがあの時あたしにしてくれたこと。今度は、あたしが返してあげないとね」

 ――アントゥルーヤコロニーを脱出してから休息するために廃墟に立ち寄るまでの間。

 あたしの記憶はすっぽりと抜け落ちていた。

 どうやって飛んだのかも定かじゃない。

 これで、操舵をミスって墜落したんじゃ、洒落にならなかったよ。

 そう、洒落にならない……。


 あたしは、夜間の襲撃を警戒しながら、ただ朽ちた廃墟の上で星を眺めていた。

 空は雲ひとつなく、まばらに輝く星々だけが心許なくあたしを照らす。


 「どいつもこいつも孤独だねぇ」


 ポツンと佇む小さな星をつまむように手をかざした。

 その時。


 ――ガサッ。


 「……誰だい!? ……って、ヨナか」

 「ごめん、脅かしちゃって」


 ヨナは申し訳なさそうにそう言うと、あたしの隣に腰掛けた。


 「いいさ、気にしてないよ。それより、レナの方はもういいのかい?」

 「泣き疲れて、今はすやすや眠ってるよ」

 「そうかい。で? ヨナは何しに来たのさ。あたしと一緒に黄昏れにでも来たのかい?」

 「うん、実は……私、ギデオンから伝言を頼まれたの」


 ギデオンからの伝言。

 それを聞いて、あたしの中に予感めいた考えがよぎった。


 「みんなのことを頼むとかそんなとこだろ?」

 「えっ? どうして……」

 「なんとなく、そんな気がしたんだよ。ったく、最後まで……勝手な奴だったねぇ」


 そう笑いかけると、それがヨナの胸のつかえを押したのか、ヨナは今まで堰き止めていたものをさらけ出すように涙した。


 「……ぁ……ミリア、ム……ごめ……、私っ……ごめんね……」

 「違うよ、それは違う。あんたが気に病む必要は何処にもないんだよ。哀しいけどさ、これが……戦争ってやつなんだ」

 「あ……ぁ……ぅわあぁぁぁぁぁぁ!」


 あの時、ギデオンがしてくれたように。

 あたしは泣き崩れるヨナを抱き寄せた。

 今すぐには立ち直れそうにないけれど、悲しみを分かち合えれば、あたしたちはきっと歩きだせる。


 とはいえ、だ。

 ヨナの温もりを肌に感じていても、やっぱり心の隙間を埋めるには……ちょっとだけ時間が必要だよ。

 あたしって、こんなに弱かったんだねえ。


 「はは……もう、乗り越えられたと思ったのに……」


 ねぇ、ギデオン。

 あたしを一人にしないでおくれよ。

 一人で逝くなんて、ずるいじゃないのさ。

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WORLD'S END
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称号 / ネームプレート
マップ一覧
コメント (ミリアム・ベミドバル)
  • 総コメント数9
  • 最終投稿日時 2022/01/03 20:36
    • チュウニズムな名無し
    9
    2022/01/03 20:36 ID:ff3ea6jv

    何かブルーアーカイブに出てきそう

    • チュウニズムな名無し
    8
    2021/09/25 14:26 ID:jgosuu4k

    >>7

    勇気のしるし+9

    推定値通り+56です

    • チュウニズムな名無し
    7
    2021/09/24 04:21 ID:ohk2ktec

    画像を撮り忘れましたが

    勇気のしるし+6と+7

    推定値通りでした

    • チュウニズムな名無し
    6
    2021/09/21 12:30 ID:co4tfqsp

    >>5

    ブルースタ院

    • チュウニズムな名無し
    5
    2021/09/21 11:39 ID:mtfei5h4

    やはりペルセスコロニーか、私も同行する

    • チュウニズムな名無し
    4
    2021/09/20 21:38 ID:p46ow3j3

    勇気のしるしが1ずつとはいえ+4も強化されたから、AWPが完全劣化になったしドルオタもほぼ使う意味無くなったなぁ。もっとも最近はマップ長い上にキャラボーナスが大きいせいで専用スキルの需要ほぼないけど。

    • チュウニズムな名無し
    3
    2021/09/17 20:03 ID:thrto865

    勇気のしるし助かる

    • チュウニズムな名無し
    2
    2021/09/17 09:03 ID:qodgwfen

    なんだろう

    間違いなくシリアスなストーリーなのに喋り方のせいでちびまる子ちゃんが邪魔してきてストーリーが入ってこない

    • チュウニズムな名無し
    1
    2021/09/17 02:54 ID:ml5k9dci

    いかん、雨が降ってきたな……

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