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CHUNITHM【チュウニズム】攻略wiki

ウェスタ・グロリオサ・フォティア

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【キャラ一覧(無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN)】
スキル一覧(~PARADISE LOST)】【マップ一覧

※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。

  • このページに記載されているすべてのスキルの効果は、CHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです(限界突破の証系を除き、NEW以降で入手・使用できません)。
  • 専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター(いわゆるトランスフォーム対応キャラ)は、RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。

Illustrator:レニィレアン


名前ウェスタ・グロリオサ・フォティア
年齢19歳
職業火の巫女シルビア・アヴェニアスの従者

精霊に命を捧げ、精霊を体に宿した巫女<シビュラ>と呼ばれる存在の一人。

シビュラ精霊記のSTORYは、全体的にグロ・鬱要素が多数存在します。閲覧には注意と覚悟が必要です。舞園 星斗「そこが一番ゾクゾクするし、ピュアなお話なんだよ?」

巫女<シビュラ>


火の巫女に仕える従者。

支配者たちの欲望は、彼女もろとも火の巫女を蝕んでいく。


スキル

RANKスキル
1ボーダーブースト・S
5
10
15
25限界突破の証
50真・限界突破の証
100絆・限界突破の証

  • ボーダーブースト・S [NORMAL]
  • ボーダージャッジ・Sの亜種。
    強制終了しない代わりにS達成不可能になると上昇率増加がなくなり、ATTACK以下でダメージを受けるようになる。
  • 初期値から5本を狙え、GRADEを上げれば6本も可能になる。
  • 新規プレイヤーの場合、PARADISE稼働時点では筐体内マップにゲージブースト系の汎用スキル所有者がほとんどいないため、ティータを早い段階で入手して課題曲でノルマ5本を要求された場合等の5本狙いスキルとして運用していくことも視野に入れたい。
  • +8から成長が鈍化し、増加量が1%ずつになる。所有者を3人RANK10にするとちょうど鈍化が始まる+8まで上げられるので、それ以上育成するかはお好みで。ただし、最大GRADE(+15)まで育成すると+7と比較してそれなりに差が出る。
  • フィールドインフォの「ボーダー/S」を使うと、上昇量消滅までのスコア猶予を確認しながらプレイできる(SS・SSSも同様)。
  • ボーダージャッジ系と違ってS・SS・SSSを所持しているキャラが別々。1人のキャラで揃わないのはある意味で面倒かもしれない。
  • 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
  • PARADISE ep.IIマップ2(PARADISE時点で累計330マス)とマップ5(PARADISE時点で累計1375マス)クリア
ゲーム上での効果表記(初期値)
ランクS以上が達成可能のとき
ゲージ上昇UP (160%)

達成不能のとき
ATTACK以下でダメージ -500
プレイ環境と最大GRADEの関係
プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し+7
あり
PARADISE以前
(~2021/8/4)
+15
GRADE効果
共通(※ランクS以上が)
達成不能のとき
ATTACK以下でダメージ -500
初期値ランクS以上が達成可能のとき
ゲージ上昇UP (160%)
+1〃 (165%)
+2〃 (170%)
+3〃 (175%)
+4〃 (180%)
+5〃 (185%)
+6〃 (190%)
+7〃 (195%)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+8〃 (196%)
+9〃 (197%)
+10〃 (198%)
+11〃 (199%)
+12〃 (200%?)
+13〃 (201%?)
+14〃 (202%?)
+15〃 (203%?)
理論値:117000(6本+15000/24k)[+7]
推定理論値:121800(6本+19800/24k)[+15]

所有キャラ【 ティータ / ミァン・テルスウラス / ミァン・クレスターニ / ウェスタ

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ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
~50
スキル
~100
スキル

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STORY

EPISODE1 精霊と共にある国「未だ貧困の格差が是正されぬ国――アギディス。私は、シルビア様と共にこの国を変えていきたい」

 鉄の国アギディス。

 『英雄王イダール』によって建国されたこの国は、製鉄を生業として発展を遂げてきた国である。

 国土の大半が険しい山脈と荒れ果てた大地であり、周辺地域は今も砂漠化が進んでいる。

 その為、農耕に適した土地は無いに等しく。

 人が生きていくには厳しい環境と言える場所だった。そんなアギディスにとって唯一の資源となり得たのは、大地の恵みたる鉄鉱石。

 アギディスは産出される鉄鉱石を頼りに、他国との交易を通じて食料を得る事で国を維持してきた。

 だが、一度に輸出できる量などたかが知れている。

 交易だけですべての民を賄う事など、到底できるものではなかったのだ。

 アギディスの支配者たちは、領土を拡大し新たな資源を得るか、民を切り捨てるか、選択を迫られた。

 その瀬戸際で、アギディスにもたらされたのが『巫女<シビュラ>』という存在。

 精霊に人の魂を捧げる事で生まれる巫女は、その身に宿した精霊の力を行使する事ができる。

 アギディスが得たのは――火の精霊の力。

 その精霊の力は、火に起因した破壊の力を与え、その恩恵によって、アギディスは製鉄技術の発展と新たな武器を手にしていった。

 新技術の確立によって莫大な富を得たアギディスの権力者たちは、更なる富をこの手にしようと、より貪欲に精霊の力を欲していく。

 権力者たちは気付いていたのだ。

 この世界を制する為には、すべての精霊の力を手中に収めてしまえばいいのだと。


 ――終わりなく続く欲望の螺旋。

 その欲望の犠牲となるのは、権力者たちの思惑など知りもしない無垢な少女たち。


 火の巫女『シルビア・アヴェニアス』の従者であるウェスタもまた、その一人。

 火の巫女と共に動乱の時代を歩む彼女に待ち受ける運命とはなんなのか。

 ここに、彼女の物語を書き記す。

EPISODE2 火の巫女を支える少女「今のアギディスがあるのは、巫女たちの力のお陰。新しい技術が良い方向に国を導くと私は思っていた」

 アギディスで産出される鉄鉱石を、より純度の高い鉄へと精錬する技術。

 その技術は、高品質な鉄はアギディスに恵みを与え、国と一部の者たちを潤わせていく。

 そんなアギディスの製鉄技術を長年にわたり支え続けてきたのが、歴代の火の巫女たちだった。


 公の場に現れた歴代の巫女たちの中でも、『シルビア・アヴェニアス』は最も聡明で、指導者としての才覚に溢れた巫女である。

 彼女は、アギディスをただ富ませるだけではなく、飢えに苦しむ民衆にとっても重要な存在だ。

 東に天災が起これば兵を率いて駆けつけ、西で紛争の気運が高まれば、解決に向けて自身の身も顧みず働く。

 その姿は、民衆にとって“希望の象徴”と呼ぶに相応しい。

 そんな彼女の従者に志願したウェスタも、シルビアに憧れを抱く民衆の一人だった。


 「――は、初めまして、シルビア様! 私はウェスタ、ウェスタ・グロリオサ・フォティアと申します!」


 ウェスタとシルビアの出会いは、シルビアが内乱で亡くなった者たちの慰霊に訪れていた時の事だった。

 ウェスタの純粋な眼差しと艶のある赤橙色の髪に強く惹かれたシルビアは、彼女を自身の従者として登用した。


 齢12にして、シルビアの身の回りの世話を任されたウェスタは、成長するに従って大事な役割を与えられるのと同時に、シルビアを支えるかけがえのない存在になるのだった。

EPISODE3 欲望のうねり「この国に蔓延る欲望……いつか私たちは、それに呑み込まれてしまうかもしれない……」

 百年を超える時の流れの中で、アギディスに暮らす人々の生活水準は、少しずつ豊かになっていった。

 とはいえ、南方に位置するルスラ教国に比べれば、その生活はまだまだ惨めなもの。

 より強く。より豊かに。

 アギディスを支配する権力者たちにとって、それは悲願であり野望であった。

 その意志は、いつしか大きなうねりとなり、アギディスを支える火の巫女では制御できないものへと変容していく――


 アギディスの都の一角に用意されたシルビアの居室。そこから見渡せる街並みに、シルビアは憂いを帯びた瞳を向けていた。


 「シルビア様、お顔が優れないようですが、どうかされましたか?」

 「――この国は、いつか大きな岐路に立たされる事になるでしょう。その先に待つのは、滅びか存続か……」

 「シルビア様……?」


 シルビアは、隣に立つウェスタの手を握りしめ、深い朱色の瞳でウェスタを見やる。

 その手は、微かに震えていた。


 「わたくしは恐れているのでしょう。アギディスを支配する者たちの、飽くなき欲望を」

 「欲望、ですか?」

 「はい。彼らの欲望に終わりはありません。それはアギディスに留まらず、ルスラを、ひいてはこの大陸すべてを呑み込んでしまう事でしょう」


 シルビアの心を映すように、瞳が揺れ動く。


 「わたくしは、その欲望に加担している。精霊の力を使って、わたくしが拍車をかけているのです」

 「ですが、それによってアギディスが繁栄しているのも事実です。シルビア様が尽力しているから、アギディスの民の窮状も改善されつつある」

 「この大きな流れを、もう止める事はできません。行き着く先に、本当に未来はあるのでしょうか……」

 「シルビア様、今日はもうお休みになった方が良いでしょう。眠りにつくまで、私がお側についておりますので、どうかご安心くださいませ」

 「ありがとう、ウェスタ。わたくしが弱い部分をさらけ出せるのは、貴女しかいないわ」


 この国を包み込む闇に心を病んでいくシルビアを、ウェスタはただ、支える事しかできない。どれだけ彼女に尽くそうとも、巫女ではないウェスタにできる事など、たかが知れているのだから。


 そんな彼女たちの関係に変化が訪れたのは、幾度目かの紛争の平定に駆り出されていた頃――ウェスタが14の誕生日を迎えた日だった。


 「――初めまして、貴女が火の巫女ね?」


 突然二人の前に姿を現した少女。

 名を、「セリエ・メーヴェ」と言った。

 彼女はアギディスから遥か遠方にある砂漠地帯――『死の大地』にある名も無き集落の出身である。

 風の精霊の力を継承した彼女は、諸国を旅して回り、その道中でアギディスに立ち寄ったという。

 その後セリエは、シルビアや権力者たちとの謁見を終え、贅を凝らした部屋へと通された。

 アギディスの権力者たちの彼女への対応ぶりは、まさに国賓級だった。

 その光景をシルビアの隣で見ていたウェスタの脳裏に、シルビアが吐露した言葉が蘇る。


 『彼らの欲望に終わりはありません。それはアギディスに留まらず、ルスラを、ひいてはこの大陸すべてを呑み込んでしまう事でしょう』


 彼女の言わんとしていた事が、これから起ころうとしているのではないか。

 そんな予感めいた思いが、ウェスタに言い知れぬ不安を抱かせる。


 「私たちは、その時が来るのを待つ事しかできないのでしょうか……」


 そんなウェスタの想いとは裏腹に、アギディスを取り巻く環境は、変革の時を迎えるのであった。

EPISODE4 技術革新「この国の現状を見ようともしない支配者たち。私にできる事は何もないの……?」

 ――鋼。

 それは、鉄よりも強靭で、より純度の高い金属。

 従来のアギディスの製鉄技術では、鋼を生み出す為には非常に長い時間を要し、決してその時間に見合うだけの対価を得る事ができなかった。


 しかし、そこに登場にしたのが、風の精霊の力を行使する巫女『セリエ・メーヴェ』。

 彼女と、火の巫女シルビアの力を合わせる事で、鋼の製鉄にかかる時間を大幅に短縮し、鋼の安定供給を確立するまでに至った。

 そして、その技術は年月を重ねる事で更に発展し、『玉鋼』と呼ばれる、鋼よりも更に良質な鋼の製鉄に成功したのである。

 この革新的な技術により、アギディスの繁栄はより確実なものとなっていく。

 だが、それはシルビアが懸念していた周辺諸国との戦争への第一歩を、大きく踏み出したとも言えた。

 そして、アギディスが急成長した事で、国内の格差は拡大の一途を辿り、各地で内乱が発生していく。

 この大きな流れを止める事は、アギディス政府にも巫女にもできなかった。


 ――内乱の鎮圧に駆り出されていく兵士たちを、自身の居室から眺めていたシルビアは深いため息を吐いた。


 「やはり、大きな流れの中では巫女の力など、たかが知れていますね……」

 「シルビア様は尽力されました。あの傲慢な権力者たちに向かって、堂々とこの国の現状を訴えるお姿は、私が初めて貴女を見たあの時から変わらない高潔さに溢れていました。どうか、お気を確かに」

 「ああ……ありがとう、わたくしのウェスタ。貴女といる時だけが、わたくしの唯一の安らぎです」


 アギディスの御旗として内乱の鎮圧にも参加させられているシルビアは、次第にかつての聡明さを失い、瞳からも光が消えかけている。 

 それをただ見る事しかできないウェスタだったが、シルビアに求められる限りは彼女の側にいたいと考えていた。

 だが、シルビアといられる時間も、頻発する内乱と野盗などの暴徒の増加によって奪われてしまう。

 アギディスの情勢は、混沌のただ中にある。

 だと言うのに、アギディスの権力者たちの関心事は、私腹を肥やす事と他国との戦争準備だけだった。

 急速に軍事国家への変容を遂げていくアギディスの現状を見て、シルビアは権力者たちに直訴する事を決心する。

 しかし、この国の窮状を訴えた彼女に権力者たちが出した答えは、今までと同様に、彼女を前線に送り込む事であった。


 「――行って来るわね、ウェスタ」

 「申し訳ありませんシルビア様……私もお供できれば良かったのですが……」

 「いいのです。貴女は、貴女の仕事を全うして?」

 「あ…………待って! シルビア!」


 自身の下から離れていく後ろ姿を見て、咄嗟に口を割って出たのは――

 “従者”ウェスタとしてではなく、彼女を支える“親友”としてのウェスタであった。


 「ふふ、貴女がわたくしの部屋以外でそう呼ぶのは初めてね。どうしたの?」

 「何故か、不安になってしまって……シルビアの帰りを心待ちにしている者がここにいるという事を、どうか忘れないで」

 「ええ、もちろんよ」


 ウェスタの願いを聞き入れたシルビアは、踵を返して内乱にわく戦地へと向かうのだった。

EPISODE5 悲劇「もうシルビアと言葉を交わす事もできない。私はなんて、無力なのだろう……」

 シルビアの尽力の甲斐あって、各地で発生していた内乱は終息へと向かっていった。長く燻っていた戦地も沈静化の目途が立ち、近々平定される見通しだ。


 ――荷馬車に揺られ、都へと戻る道すがら、シルビアはこれまでの内乱の状況を精査していた。


 「今回の内乱は、今まで発生していなかった南部に集中していた。ルスラとの貿易が盛んなあの地域は、比較的経済状況も良かったと記憶していたけれど……」


 その時、シルビアの思考を中断するように馬車が揺れ――直後、いななきと共に停車した。


 「御者の方? どうされ――」


 状況を確認しようと外に降りたシルビアを迎えたのは――


 「ああ……そういう事でしたか。やはり、“貴方がた”は……」


 穏やかな声音で言葉を紡いだシルビアは、ゆっくりと両手を広げ――

 次の瞬間、鞘走る音が街道に響き渡った。


 ――

 ――――


 「シルビア様が……襲撃された!?」


 ウェスタの下にその報せが届いたのは、既に陽が沈もうとしている時だった。

 火の巫女シルビアを狙った襲撃事件。

 凶行に及んだのは、ルスラ教国から送り込まれた刺客であったと言う。

 それだけを聞くと、ウェスタはシルビアが担ぎ込まれた場所へ急行する。そして、寝台に横たえられたシルビアを見て、


 「ぁ、あぁ――――」


 ウェスタは言葉を失った。

 彼女は、もはや助かる見込みすら無い程の重傷を負い、今にもその命を散らそうとしている。

 アギディスの象徴である聡明な巫女の面影は、欠片も残されていない。

 ただ、その身に宿る精霊の力によって、無理やり生命活動を維持させられているだけの――人の形を辛うじて保っている“何か”だった。


 「あぁ……シルビア……私があの時、貴女を引き止めていれば……っ……」


 悲しみに咽び泣くウェスタは、シルビアだったモノの手を握り締める。

 僅かに返ってくるその反応は、果たしてシルビアの意思なのかどうかさえ分からない。


 ――アギディスの都にある豪邸。

 そこには、ウェスタよりも早くシルビアの一件について報告を受けていた者たちがいた。


 「事は計画通りに進んだようだな」

 「ああ、我等に楯突く愚かな巫女は消えた」

 「言いなりになっておれば良かったものをな。だが、これでアギディスはひとつにまとまった。滞っていた戦争の準備も速やかに進む」

 「それはそうと、次の憑代は決まっているのかね?」

 「無論だ。より従順で、より我等の意のままに動く“容れ物”を用意してある」

 「それは重畳。ならば、アギディスには更なる富と豊穣が約束される事だろう」


 下卑た笑みを浮かべる男たちの思惑が、アギディスに新たな戦乱の種を蒔く。

 それは、近い将来に周辺諸国を巻き込んだ大規模な戦争と、終わりなき憎しみの連鎖を芽吹かせていく事になる。

EPISODE6 巫女の宿命「貴女は終わりなき苦痛と戦い続けていたのね……。気付いてあげられなかったなんて、私は親友失格よ」

 シルビアが襲撃された日の翌朝。

 彼女の側を片時も離れなかったウェスタの下に、アギディス兵を引き連れた権力者が現れた。

 その男の背後には、赤髪の幼い少女が付き従っている。少女の瞳は、どこに視線を向けているのかも分からない程に、虚ろだった。


 「ウェスタ・グロリオサ・フォティア、現時点をもって火の巫女シルビア・アヴェニアスの従者を解任する。その“成れ果て”は、こちらで処分しよう」


 淡々と告げられる言葉に、ウェスタは偉そうに語る目の前の男が、一瞬、何を言っているのか理解に迷う。


 「……は? あ、貴方は、何を……言って。シルビア様への敬意すら払えないの……?」

 「道具にかける言葉など、持ち合わせてはおらん」

 「ど……道具、ですって……!?」


 ウェスタの神経を逆撫でするように、男は不遜な態度を取り続ける。そして、後ろに控えていた少女を引き寄せ、告げた。


 「これより、精霊継承の儀を行う。新たな容れ物はここに用意した。ウェスタ、お前は新たな巫女の下、従者として尽くすがいい。コレは、まともに下の世話もできんからな」


 下卑た笑いが室内に響く。

 からかわれた少女は、言葉すらろくに理解できないのか、微動だにしていなかった。


 「あ、貴方は、人の命をなんだと思っているのですか!? 道具のように使い捨て、民すら奴隷のように扱う! それが為政者としての在り方なのですか!?」

 「“道具”に口答えする権利など無いのだが?」


 ――ウェスタの心に、激情が湧き起こる。

 こんな奴らが、民を虐げているのか。

 こんな奴らが、国の為に身を捧げたシルビアを、塵のように捨てたのか。

 こんな。こんな奴らが――

 ウェスタは、この時初めて心の底から激しい憎しみを抱いた。相手を殺したいと思う程の、醜く歪んだ感情。

 それに突き動かされようとした刹那。


 『――ウェスタ』


 微かな声が、ウェスタの名を呼ぶ。

 その声の主は、彼女が敬愛する唯一の存在――シルビアだった。


 「……え?」


 振り返ったウェスタに、再びシルビアの声が響く。その声はウェスタにしか聞こえないようで、男たちは誰も気付いた素振りを見せていなかった。


 『わたくしの手を……貴女の額にあててください。奴らの思い通りに……させたくは……ないのです』

 「……シルビア……分かったわ」


 その声に導かれるように、ウェスタはシルビアの手を握り締める。


 「貴様、まさか……!?」


 咄嗟の出来事に、偉そうな声の男は初めて狼狽えた表情を見せた。

 笑みを浮かべたウェスタはシルビアの手を額に添えて――


 「――ぅ、あっ……アァァァァ――ッ!?」


 シルビアからウェスタへと流れ込む精霊の力。

 それと共に、精霊に刻まれた歴代の巫女たちの記憶が、一斉にウェスタの心を蹂躙していく。

 絶望と悲鳴。憎悪と欲望。

 憑代として捧げられた少女たちの想いが、記憶が、器となったウェスタへと容赦なく注ぎ込まれる。

 そして、混濁した意識の中で、最後に彼女が見た記憶は――


 ――玉鋼の鎧に身を包み、煌めく剣で御者を葬ったアギディス軍の正規兵。更に、その奥では剣や弓を掲げた兵士たちが、ズラリと並んでいる。


 『シルビア・アヴェニアスよ! アギディスの栄光が為! 貴様には礎となってもらう!!』


 無数の兵士たちが、シルビアを亡き者にしようと殺到する。

 自分の命が、今まさに狙われているというのに。

 シルビアは、一切の抵抗も示さず、ただ兵士たちに斬り刻まれる事を選んでいた――


 脳裏によぎったその光景は、ウェスタが聞いた話とは完全に食い違っている。

 シルビアは、ルスラの刺客ではなく、彼女が想い続けてきた者たちの手にかかっていたのだ。


 (――おかしいとは思った)


 精霊の力を行使できるシルビアが、刺客に遅れをとるような事など無いと。


 (すべては……あいつらが仕組んだ計画だったんだ。シルビアを排除する事で、怒りの感情でアギディスをひとつにまとめあげる。その生贄として、シルビアは選ばれてしまった……)

 『――ウェスタ、わたくしと同じ業を、貴女に背負わせてしまってごめんなさい……』

 『いいえ。私は貴女の気高い意志に触れる事ができた。私も貴女と同じ巫女になれた事を誇りに思う』


 シルビアの瞳から、涙が零れ落ちていく。


 『ありがとう。わたくしの……ウェス、タ――』


 それが、彼女の最期の言葉だった。

 精霊の継承を終え、役目を果たしたシルビアの身体から、生命の灯が消え失せる。

 その表情は、とても安らかで。

 敬愛するウェスタに看取られて逝けたのは、シルビアにとって幸福な事だったのかもしれない。


 「さよなら……シルビア……」

 「貴様……我等に楯突こうと言うのだな?」

 「火の巫女は、シルビアの意志と共に私が継承しました。精霊の力は、誰にも譲りません」


 シルビアと同じく、朱色に輝くウェスタの瞳が男たちを睨みつけた。

 その瞳が雄弁に物語っている。

 逆らおうとするなら、直ちに燃やしてやると。

EPISODE7 暗躍する者たち「私は知ってしまった、シルビアの苦悩の意味を。この国はもう後戻りできない程に狂っている」

 シルビアの死によって、アギディス国内はルスラへの敵愾心を燃やすと共に、戦争への気運を高めていく。


 欲望は、際限なく拡がり続ける。

 戦争は、技術の進歩を加速させる。

 それらが複雑に絡み合った結果、巫女から与えられた製鉄の技術は更なる発展を遂げ、もはや巫女の力に頼らずとも純度の高い玉鋼を量産する事が可能になった。

 各地では続々と高炉が建造され、兵員の徴用が進む。

 軍備が拡充されていくと共に、来たるべき戦争の足音が着々と近付いていた。


 ――アギディスの都にある邸宅。

 そこに集ったアギディスを支配する権力者たちは、ひとつの判断を下した。


 「巫女の死で、人々の意志はひとつになった」

 「ルスラへの宣戦布告も直に行われるだろう」

 「であれば、巫女の役割を次の段階に移行させる時が来たようだな」

 「ああ、今の巫女は不要だ」


 彼らが欲しがっているのは、自分たちの意のままに動くだけの人形である。勝手にシルビアから精霊の力を継承したウェスタは、彼らにとって非常に都合の悪い存在だった。


 「あれが我等の計画を妨害する前に、精霊継承の儀を執り行わねばならん」

 「手配は済ませてある。いつもの手は使えないが、さして時間はかからぬだろう」


 蝋燭の灯に照らされた顔が、深い皺を刻む。

 アギディスを操る者たちの奸計が、ウェスタの知らぬ所で、密かに動き出そうとしていた。


 ――同時刻。

 シルビアの居室を後にしたウェスタは、夜闇に紛れながらとある場所へと向かっていた。


 アギディスの都の外れに建てられた収容施設。そこに、風の巫女セリエ・メーヴェが監禁されている事を、ウェスタは知ってしまったのだ。


 「まだ、奴らは気付いていないはず……彼女を解放して、この国を脱出しなければ……」

EPISODE8 アギディスの真実 「私がシルビアを苦しめていたなんて。こんな苦痛、どうして巫女だけが背負わなければいけないの?」

 精霊の力を継承した際に流れ込んで来た歴代の巫女たちの記憶。その記憶が、欲望に塗れたアギディスという国の真実を伝えていく。

 ウェスタの知らなかったその真実は、陰惨で残酷なものだった。

 時に政略の駒として、時に民衆を操る象徴として。

 時代毎に様々な『役割』を押し付けられてきた巫女たちだったが、その多くに共通している点がひとつあった。

 彼女たちは、自分たちの家族を、愛する者を人質に取られていたのである。

 それは、シルビアも例外ではなかった。

 彼女の記憶に刻まれた哀しみと苦悩の日々が再生される。


 「ああ……そんな……貴女を苦しめていたのが……“私”だったなんて……」


 シルビアは、ウェスタがアギディス兵たちに殺されるのを恐れて、権力者たちの言いなりになっていたのだ。

 巫女の容れ物になる少女たちの“選定”や、勝手に国を出ようとしたセリエの監禁。

 そして、時にはその身体さえも――


 「シル……ビア……っ……」


 頬を、涙が伝っていく。

 彼女はあらゆる手を尽くしてウェスタを護り続けていた。

 その深い想いを知り、締め付けられた心が今は亡き少女を求めて彷徨う。


 「せめて、私に話をしてくれていれば……」


 シルビアが何故そうしなかったのか、他の誰よりもウェスタ自身が分かっている。だからこそ、何もできなかった自分が悔しくて堪らなかった。

 シルビアは、何度天秤にかけさせられたのだろう。

 自分の心に蓋をして、どれだけの苦汁を飲まされ続けてきたのだろう。

 それを思うだけで、涙が止めどなく溢れてくる。


 「どうして、巫女だけがこんなに苦しまなくてはならないの? 一部の者たちを肥えさせる為だけに、どれだけの哀しみを背負わせる気……?」


 いくら国が発展しようが、いくら富を得ようが、決して命の代償として釣り合いの取れるものではない。

 この負の連鎖は、巫女がアギディスに存在する限り、終わり無く繰り返される。

 なら、ウェスタに今できる事は――


 「セリエを救い出して、この狂った国を脱出する」


 決意を固めたウェスタは、早速行動に移るのだった。


 ――深夜、セリエが監禁されている収容施設に辿り着いたウェスタ。

 警備は最小限の人員しか配置していないのか、殆ど見られない。これなら精霊の力を使わなくて済む、とウェスタはすんなり施設に入り込む事ができた。

 セリエが監禁されている場所は、シルビアの記憶によれば一階の最奥に位置する。


 「ここだ――――セリエ……!」

 「え……ウェスタ? どうしてここに……」

 「貴女を助けに来たの。このままアギディスにいれば、私たちはシルビアのように殺されてしまう。そうなる前に、一緒に逃げましょう!?」

 「逃げるって言っても……私は……」


 よくよく見てみると、セリエは拘束されている訳でもなく、ベッドに横たわっている。

 普段のウェスタであれば、その違和感に気付けていたかもしれない。

 だが、アギディスから少しでも早く離れたかったウェスタには、そこに思考を巡らす余地がなかった。


 「アギディスの支配者たちは、自分たちの言いなりになる憑代に、精霊の力を継承させようとしているの。さぁ、早く――」


 セリエの手を引き、ウェスタは出口を目指す。

 その瞬間――


 「ごめんね、ウェスタ……」

 「え?」


 強い衝撃がウェスタを襲った。

 振り返る間もなく、床に倒れたウェスタは、明滅する意識の中でセリエを見やる。

 そこには、ぶつぶつと謝罪の言葉を呟くセリエが立ち尽くしていた。

EPISODE9 誰が為に「人は、大義の為ならどんな事でもできる。私たちは、こんな奴らの為に身を捧げ続けて……」

 光も通さぬ地下牢獄。

 松明の火に仄かに照らされた通路を、両脇を男たちに抱えられたウェスタが引きずられていく。

 嵌められた枷と枷を繋ぐ鎖の音だけが、じゃらじゃらと耳障りな音を奏でる。


 「ぅ……あぁ……」


 頭に走る痛みに顔をしかめていると、通路の両側に設けられた部屋から、悲鳴が聞こえた。

 ウェスタは、暗がりから覗く部屋に視線を向ける。

 そこには、目を覆いたくなるような地獄の光景が広がっていた。

 滑車から垂れ下がった縄に吊られたまま、少女たちがアギディス兵たちに拷問されている。

 あらゆる“痛み”を試されている少女がいた。

 あらゆる“感情”を引き出されている少女がいた。

 鋼の鎧に身を包んだ男たちの手が、足が、少女たちを無慈悲に蹂躙し続けている。


 少女たちの瞳からは、まるで光が感じられない。

 それは、生きながらにして屍となってしまったかのような――


 「まさか……この子たちは……」

 「気が付いたようだな」

 「あ、貴方たちは、憑代の少女たちを、こんな……こんな、むごい事を……」

 「アギディスに富と栄光をもたらす為だ」


 ウェスタの前を歩いていた偉そうな声の男の足が止まる。


 「さあ、着いたぞ。ここがお前の最期の住処だ」


 開かれた扉からは、咽せ返るような異臭と共に、くぐもったような苦悶の声が聞こえた。


 そこには、拷問されている少女たちと同じように拘束されている――


 「あぁ……セリエ……」


 虚ろな瞳の、風の巫女がいた。


 「経過は順調なようだな。そいつの拘束を解け。代わりにコレを吊るす」

 「はっ」


 拘束を解かれ、セリエは石畳の上に力無く崩れる。

 偉そうな声の男は、ウェスタの拘束が終わったのを見届けて、冷徹に言い放った。


 「風の巫女よ、お前がコレの拷問を行うのだ」

 「……え?」


 突然の指示に、ウェスタは開いた口が塞がらない。


 「集落の者を飢え死にさせたくないのだろう? 断れば、私の声ひとつで皆殺しにできるが」

 「分かり、ました……」

 「どうして、セリエ……」

 「ごめんね、ウェスタ……私には、こうするしかないの……」


 男たちの手によって恐怖を植え付けられたセリエに、逆らう意思は微塵もない。

 初めてセリエを目にした時の自由奔放な彼女は、もうどこにもいなかった。

 権力者たちが行ってきた非道な行いの結果をまざまざと見せつけられ、ウェスタは大粒の涙を零す。

 助けようとしたセリエを人質に取られ。

 もはや、ウェスタに抗う術は残されていなかった。

EPISODE10 滅びの火「……い、イタい。もう、ナニも……分かラ、ない……」

 セリエによる拷問は、次第に苛烈さを増していった。

 最初は、涙を流し、許しを乞いながら私への拷問を行っていたのに、それは徐々に薄れ――


 「わ、私は悪く、ない。こうする事が正解なの……」


 ぶつぶつと呟くセリエは、石壁の向こうから命令されるままに、私へ拷問を加えていく。

 巫女になって初めて分かったけれど、巫女の身体は精霊の力がそうさせるのか、ただの人間よりも生命力が強く、傷の治りも早くなっている。

 それはつまり、“何度も拷問を行える”という事を意味していた。

 精霊の力を継承するだけなら、さっさと私を殺してしまえばいい。

 なのにそうしないのは、この拷問の光景をただ単に楽しんいるだけ――


 私の肌を、刃が這う。

 私の歯に、金槌が舞う。

 私の腹の中を、鉄串が踊る。

 私の眼の前で、焔が揺れる。


 ――何度も。

 何度も何度も何度も。

 繰り返される度に痛みだけが加速する。

 脳裏を駆け巡る眩い光が、何度も明滅を繰り返す。

 どれだけ拒絶しても。

 どれほど懇願しても。

 果てのない地獄に、いつしか私は“恐怖する”事さえ忘れてしまった。

 そして。

 私の耳にこびりついて離れなかったのは、狂ったように同じ言葉を繰り返すセリエの声と、その光景を嘲笑う男たちの下卑た声だった。


 ――どれくらい、そうされていたのだろう。


 身体の感覚は、もう殆ど機能しなくなっていた。

 辛うじて理解できたのは、私はもう、呼吸をするだけの肉の塊にすぎないという事だけ。


 ――カツ、カツ、カツ。


 何かが、向かってくる気配がする。

 潰された視界では、それが何かまでは分からない。

 けれど、私の身体が直に“役割”を終えようとしている事だけは間違いなかった。


 「頃合いだな。アレを持ってこい」

 「かしこまりました」


 この声は……ああ、この声は覚えがある。

 私とシルビアの前に現れ、精霊継承の儀を行おうとした男の声だ。

 男がここに来たという事は――つまり。


 「連れて参りました」


 この場に似つかわしくない、軽い足音が響く。

 恐らく、奴らが用意していた巫女の憑代に選ばれた少女だろう。

 それが今は、“2人分”聞こえている。


 「さて、精霊継承の儀を行う前に……セリエよ」

 「は、はい…………」


 俯いたままのセリエに向かって、男は言った。


 「お前も用済みだ」

 「……え?」


 その直後、甲高い金属の音が聞こえ――セリエのくぐもった声と共に、何かがどさりと石畳に倒れた。


 「ぁれ……わ、私……」

 「我等の意のままに動く巫女がふたつになる。アギディスには更なる富と繁栄がもたらされるだろう」


 下劣な笑い声だけが、牢獄に反響する。

 人の命に欠片も情を示さぬ支配者。

 そんな奴らが、巫女を、民を、いたずらに傷つける。


 「次はお前の番だ」


 こんな、こんな地獄が。

 これからも永遠に続くのか。

 一体、何人の少女たちの命を犠牲にして、この国を維持させるつもり?

 お前たちをぶくぶくと膨れさせるためだけに、命を弄ぶ権利が、あるというの?

 許せない。

 許せる訳がない。


 ――だったら。


 誰もお前たちを裁けないのなら。

 私が、お前たちを裁いてやる!

 この国が灰に還るまで、すべて燃やしてやる!


 「――アギディスの礎となるがいい!」


 振り下ろされた剣が、私を傷つける事は無かった。

 それは、私の身体に触れた瞬間、融解していたから。


 「何……!?」

 「……にく、イ。すべてガ、憎イ」


 身を焼き尽くす程の激情が、全身を駆け巡っていく。

 いつの間にか私の身体から痛みは消え失せていた。

 痛覚が無くなっただけじゃない。

 私の身体は、新しい別の“何か”に生まれ変わっていたのだ。

 取り戻した視界は、炎のように赤々と燃えている。


 「こ、この化物めェェェッ!!」


 何か叫んでいた男たちは、私が手をかざしただけで黒い塊に変わった。

 私に剣を振り下ろした男も、今はただ、ごうごうと燃える火柱になっている。

 ここにもう用は無い。

 次は、上の階の奴らを燃やしにいかないと……。


 「……ひ……イヤ……来ないで……」


 ふと、視界の隅で蠢く何かに気付く。

 それは、精霊の力で生きながらえていたセリエだった。


 「……ひっ、ウ、ウェスタ……ゆ、許して……」

 『貴女ニ、用はなイ。アギディスから消えテ……』

 「あ、ありがとう……ウェスタ……ごめんなさい……」


 牢獄を出ていくセリエを一瞥し、今も呆然と立ち尽くす憑代の少女たちを見る。

 すがるような視線が、私に注がれていた。


 「おねが、い……わたしたちも……」


 瞳からわずかに感じた“願い”。

 私は、少女たちを優しく抱きしめ、燃やしてあげた。

 これで、貴女たちを苦しめるものは何もないわ。


 「……ありが、とう……おねえ、ちゃん……」


 微かに聞こえた声。

 涙は一瞬にして蒸発してしまった。

 けれど、私の心の嘆きは収まらない。

 少女たちの願い。

 巫女たちの叫び。

 そして、シルビアの想い。

 渦巻く想いを胸に、私は一歩を踏みだした。

 アギディスにもたらしてあげるわ。

 すべてを灰塵に帰す、滅びの炎を。

EPISODE11 焔霊「これは、みんなを送る弔いの歌。すべてを焼き尽くすまで、私は唄い続けよう」

 アギディスの権力者たちは、ウェスタの一件で揺れていた。

 彼らが収容施設の中で目にしたのは、融解した鋼を飲まされ内側から燃やされた者、鉄の杭が口から突き出ている者など、様々な拷問を受けて燃やされた兵士たちで溢れ返っていた。

 この世とは思えない、地獄の光景がどこまでも続いている。

 施設の最奥――地下室へと続く階段は黒く変色していて、元の色がなんだったのかさえ判別する事が難しい。

 そして、光さえ吸収してしまいそうなその空間の中では、“人の形”をした黒い物体が、至る所に転がっていたのだ。

 死の匂いと、想像を絶する痛みが具現化した世界で正気を保っていられる者など殆どおらず。この一件の全容を解明するのに、アギディスは長い月日を費やしていく事になるのだった。


 加えて、捕らえていたはずの二人の巫女の行方も杳としてしれず、権力者たちはルスラ教国への侵攻計画を大幅に修正せざるを得なくなる。

 更に、彼らにとって誤算だったのは、ある日を境にして囁かれるようになった『異形』の存在だった。

 アギディスの権力者たちは、ソレの存在を野放しにしたまま戦争はできないとして、以来、長い歳月をかけソレとの戦いに時間を割いていく。


 アギディス国内で度々目撃される、燃え盛る炎を身にまとった“何か”。

 精霊の力を自在に操り、生半可な傷はたちどころに再生させてしまうソレを倒す事は困難を極めた。

 アギディスの革新的な技術で作られた鋼の鎧や武器でさえ、ソレの前では紙同然に燃やされてしまう。


 灼熱の炎を纏い、目に映るものすべてを燃やし尽くすその姿こそ、本来あるべき『火の精霊』に近い。

 アギディス辺境の集落でソレが討ち取られるまで、破壊の限りを尽くす『焔霊』の名は、アギディス全土に知れ渡っていく。

 獣のごとき咆哮は、誰かを想う嘆きか、はたまた、巫女たちに悲劇をもたらした者への憤怒の慟哭か――その答えは、誰一人として分からない。

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WORLD'S END
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称号 / ネームプレート
マップ一覧
コメント (ウェスタ・グロリオサ・フォティア)
  • 総コメント数12
  • 最終投稿日時 2022/02/13 12:41
    • チュウニズムな名無し
    12
    2022/02/13 12:41 ID:buajm7y1

    んでここで討たれた焔霊がティータに宿ったって解釈でいいん?

    • チュウニズムな名無し
    11
    2022/01/28 14:33 ID:abqzd382

    ノーパソやん!!!

    • チュウニズムな名無し
    10
    2021/08/13 11:34 ID:ng1rutqs

    エッチなこと要求されたんですか

    • チュウニズムな名無し
    9
    2021/04/19 08:21 ID:p6mc9v5r

    最後まで読んだけど、漫画版のデビ〇マン以上に救いようがない世界だな。

    • チュウニズムな名無し
    8
    2021/04/17 12:07 ID:e2b1bhpi

    シルビアって確かソウルブラザーズにも居たよね!(現実放棄)

    • チュウニズムな名無し
    7
    2021/04/17 10:30 ID:a3q7biqk

    いつものシビュラならセリエは逃がされてなかった

    こいつ聖人ですよ

    • チュウニズムな名無し
    6
    2021/04/17 00:54 ID:he4sh6wd

    これでもシビュラの中ではマシな方だと思ってしまった

    • チュウニズムな名無し
    5
    2021/04/16 19:15 ID:o7xtlvca

    >>3

    最低でもあと2人分は追加されると思うな…セリエと火の巫女の力を授かる前のティータとか。

    • チュウニズムな名無し
    4
    2021/04/16 19:02 ID:biv59li2

    >>3

    物語が続く限りハッピーエンドになる可能性があるんだから完結しないでくれ。

    頼む

    • チュウニズムな名無し
    3
    2021/04/16 17:59 ID:c4t0x3nz

    もうこれで完結してくれ。

    頼む

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